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よしなしごとども 書きつくるなり
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水上勉(新潮社)

 幼い頃から禅寺で精進料理を作っていた筆者が、旬の素材を活かした料理を紹介するエッセイ。
 ふきのとう、みょうが、うど、高野豆腐……こういう食材は、どう料理されようが私は好きではない。しかしながら作者の書き方は、材料を慈しむ心にあふれ、とてもおいしそうに感じられる。
 特に「松茸」の部分では、生つばが出た。よく焼いたのを手で裂いて、柚子、だいだいをふりかけて……簡素にして贅沢な食べ方である。
70点
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皆川博子(早川書房)

 こういう怖さは、ちょっと新鮮だった。人が何人も死んだり、血がどばぁってのも怖いけど、この世のものならぬ不思議な現象というのもじわじわと恐怖感が募ってくる。

 短編集だが、私が気に入ったのは「骨董屋」。未来がこんなふうに「ヒント」を出してくれたら助かる、というか苦労はしない。
 逆にいまいちだったのは「たまご猫」。設定も会話もとてもリアリティがある話なのに、ラストがあまりに現実離れしすぎだと思う。タイトルが変わってて「どんな話なんだろう」と期待が膨らみすぎたのが敗因か。
65点
折原一(新潮社)

 売れない作家が、行方不明になっている男の伝記を書く仕事を依頼される。男の素性を調べていくうちに、自らも事件に巻き込まれていく。

 総論賛成、各論反対。細部で納得しかねるところが多い。樹海から奇跡的に脱出とか、幼児殺害の理由とか、不審な尾行者のしたこととか。ネタバレになるのでこれ以上書けないが、どれもこれも方法や動機が弱いと思う。
 それと男の妹「ユキ」の設定が変。無意味に魔性の女しているし。
 というわけで引っかかりはあるものの、読後感は悪くない。構成の妙ってやつですかね。
65点
湊かなえ(双葉社)

 中学の女教師・森口。彼女の娘が、学校のプールで溺死してしまう。事故ということで片付けられたこの一件、だが森口は終業式の日に教室で告白する。「私の娘はこのクラスの生徒に殺されたのです」。

 第一章は、ほとんど森口の独白で話が進む。教壇から生徒に向かって穏やかに話をする彼女だが、その言葉には確かな「毒」がある。
 不穏な空気を保ったまま、ストーリーは次々に語り手を変えて進んでいく。その内容たるや意外性抜群、視点が変わると物事というのはこんなにも変貌するものかと、かなり驚かされた。
 無駄のない、しかもそつのない展開で一気に読めたが、欲を言えばA少年の母親の話も聞きたかった。A少年に対するどんな思いが母親にあったのか……永遠の謎ではある。
90点
恩田陸(新潮社)

 (うわぁ、「ライオンハート」の感想、ひどいですね。そんなことも忘れて読んじまいました。すみません)
 デビューから十四年間の全エッセイ。
 恩田氏の小説とは相性が悪いけど、エッセイなら……という淡い期待を持って本書を読み始めたが、まぁ可もなく不可もなくという読後感であった。

 年齢が近いので「あぁ知ってる知ってる」という話がいくつかあって、そういう意味では楽しめた。米飯給食の始まりとか、『ガラスの仮面』の連載の始まりとか。
 以下、余談めいた話。筆者は水戸一高出身なのだが、その高校は私が通える範囲の中で、いや、県で一、二を争う進学校だ。世が世なら(って、何がどうなってもありえないけど)筆者と同じ学校で過ごせたかと思うと不思議な感じがした。
60点
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