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名探偵カッレくん

アストリッド・リンドグレーン(岩波書店)

 カッレは、名探偵になることを目指す少年。そのために(意味も無く)街を見回ってみたり、(空っぽの)パイプをくわえてみたりする。あるとき、友人のロッタのところに親戚のおじさんがやってくる。彼はいかにも怪しげで、探偵・カッレは俄然はりきるのだが……。

 13歳の少年、少女の日常がみずみずしく描かれている。カッレ家の裏に住んでいる、気が強い少女・ロッタ。いたずら友だちのアンデス。彼ら3人が戦闘を繰り広げるのは「赤バラ軍」の男の子たち。
 木登り、川渡り、他愛もない悪口を言い合うこと……すべてが楽しそうで、ウン十年前に過ぎ去った自分の少女時代を思い出した。
 カッレが巻き込まれる事件の描き方も非常に良くできている。彼が見つけた、一見どうでもいいような事柄が、次第に重要な意味を帯びてくるあたり、児童文学の域を超えた、推理小説としての面白さも味わうことができた。
75点
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めぐみ

キョウコ・モリ(角川書店)

 主人公は高一の女の子「めぐみ」。もしめぐみが私のクラスメートだったら友人になれそうな気がする。学校では人と違うことをする子は変な目で見られるのが落ち。でも自分の感覚を信じたいって気持ちは良くわかる。
 彼女が思うことにはいちいち共感できるが、特に愛人を作って家に寄り付かない父親に対する言葉はツボにはまる。「父に同情すべきなのかもしれない。……そのひとのために何かをあきらめようと思うほど、ひとを愛したことがいちどもないのだから」。
 ただ、宗教がらみの部分が疑問だった。その部分が無くてもこの小説は充分成り立つと思う。
70点

目には見えない何か

パトリシア・ハイスミス(河出書房新社)

 中後期の短編集。
 表題作の『目には見えない何か』。
 ごく平凡な主婦のヘレーネは、ひとりでとあるホテルに滞在していた。そこで彼女は二人の男性から求婚される。
 だが彼女はどこか醒めたような態度で二人に接する。「みんなが私に関心を持つのは、もう私が他人を必要としていないからだ」……彼女はそう結論付けるのだった。

 45歳のヘレーネが、なぜそこまでモテるのか、ずっと謎のまま話は進む。もしかして、すべては彼女の妄想? と思い始めた矢先、唐突に物語は終焉を迎える。
 そのあっけないほどの結末が、なんとも物悲しい。求めると手に入らない、要らないと思ったときには、拒んでもやってくる。そんな人生の皮肉が込められているようだ。
 他の短編も甲乙つけがたいほど素晴らしく、『ゲームの行方』『狂った歯車』には、特にぞっとさせられた。
90点

メモリー・ゲーム

ニッキ・フレンチ(角川書店)

 十六歳で行方不明になったナタリー。彼女の遺体が二十数年振りに自宅の庭から発見される。
 彼女と仲の良かったジェインは、自らの記憶を探ることで真実を見極めようとするが……。

 前半はストーリーがもたついている感があるが、ジェインが記憶を取り戻して以降はぐんと作者の筆が冴えてくる。
 ラストにはどんでん返しもあって、その結末は考えさせられる内容となっている。
 ひとつ難点を挙げれば、セラピストであるアレックスのその後について。彼がどうなったのか言及されていない点に物足りなさを感じた。
70点

モリー先生との火曜日

ミッチ・アルボム(NHK出版)

 十六年ぶりに再会した恩師モリーは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵されていた。筆者とモリーは毎週火曜日に会って色々な話をすることにした。死について、愛について、許しについて。

 誰かを許すってなかなか難しい。許せない!って思うほうが断然たやすい。でもモリーは言う。「自尊心、虚栄心。われわれはなぜ、こんなばかなことをやっているんだろう?」
 自分がもうすぐ死ぬんだと思ったら、あらゆる人を許せるものであろうか。まぁ誰かを恨みながら死んでいくってのも切ない気がするが。
70点

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