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目には見えない何か

パトリシア・ハイスミス(河出書房新社)

 中後期の短編集。
 表題作の『目には見えない何か』。
 ごく平凡な主婦のヘレーネは、ひとりでとあるホテルに滞在していた。そこで彼女は二人の男性から求婚される。
 だが彼女はどこか醒めたような態度で二人に接する。「みんなが私に関心を持つのは、もう私が他人を必要としていないからだ」……彼女はそう結論付けるのだった。

 45歳のヘレーネが、なぜそこまでモテるのか、ずっと謎のまま話は進む。もしかして、すべては彼女の妄想? と思い始めた矢先、唐突に物語は終焉を迎える。
 そのあっけないほどの結末が、なんとも物悲しい。求めると手に入らない、要らないと思ったときには、拒んでもやってくる。そんな人生の皮肉が込められているようだ。
 他の短編も甲乙つけがたいほど素晴らしく、『ゲームの行方』『狂った歯車』には、特にぞっとさせられた。
90点
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