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パニックの手

ジョナサン・キャロル(東京創元社)

 短編集。表題作もいいが『おやおや町』が面白かった。
 シルヴァー夫妻のところに、新しい掃除婦・ビーニィがやってきた。彼女は掃除の天才だった。地下室や車庫で、彼女は忘れ去られていたいろいろな物を見付けてきては、夫妻に聞くのだった。「これは?(どう処分しましょうか)」。
 初めは面白がっていた夫妻だが、ビーニィが「あるはずのない物」を差し出してきたとき、主人のスコットはある疑念を抱く……。
 ビーニィがその正体を明かしてからの展開が凄まじい。彼女はスコットに、彼の子供たちの「現実」を見せ付ける。見るに耐えないような現実を。スコットの絶望は察するに余りある。
 さらにラストで明かされる、驚愕の事実。「だから今、世界はこうなのか」と、思わず納得しそうになった。

 余談だが。
 この作品集、翻訳がどうも気に入らなかった。「……写ってた」「……冷めてった」といった「い」抜き言葉が目に付いて仕方がなかった。
80点
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