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よしなしごとども 書きつくるなり
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F・W・クロフツ(東京創元社)

 埠頭から荷揚げされた樽には、金貨と女性の遺体が入っていた。犯人の目的は何なのか?

 解説に冒頭のテンポが遅いと書かれていたので覚悟して読み始めたが、まったくそんなことはなかった。
 樽の受取人である男は、果たして犯人なのか? 警部と一緒に考えを巡らすのは刺激的で、退屈しらずであった。
 後半はさらにスピーディーとなり、容疑者も2人に絞られて推理する楽しさがいや増した。
 警部が上司に手紙で報告したり、参考人を探すために新聞に広告を打ったり、そのあたりはさすがにのんびりとした感じを受けた。だが、いろいろなことがその場で分かってしまうデジタルな現代より、そちらのほうが小説向きであるのかもしれない。
85点


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スーザン・ケイン(講談社)

 読売新聞の書評に惹かれて読んだこの本。おそらく初めて読書しながら付箋を貼りまくった。
 あれもこれも紹介したいのだが、なるべく簡潔に書こうと思う(これには理由がある。それはまた後で)。

 『十戒』でおなじみのモーセについて。彼は預言者として神に選ばれたが、そのおとなしさゆえ一度は辞退したのだ。外向的な兄を代弁者とすることで、やっと自分の使命を受け入れた。
 これらのことは内向・外向が陰陽を成し、どちらも必要なのだということを示している。

 今はやりのオープンオフィス。だが、多種多様な産業界でのこれに関するデータは、生産性を減少させ、記憶力を損ない、働く人を敵対的にする、と語っている。
 これは内向型に限らず、誰でもみんな、人目につかないで隠れられる場所を必要としている証左だという。

 ある心理学者の研究によれば、感受性が鋭い人の大半は内向型だという。それは彼らの人生を苦しいものにすると同時に、良心を形づくる。
 もちろんみんながみんな善人ではないが、友人の苦境に思わず涙するのはこのタイプだ。

 そして最も興味をそそられたのが、11章の「静かな子供をどうしたら開花させられるか」。
 外向型の親と内向型の子、という組み合わせの場合、往々にして親が子供の性質を受け入れられずに、我が子は病気なのではないか? とまで思ってしまう。そういう子供は、受容と少しの応援があれば彼らなりのやりかたで生きていける、と認識することが大切である。
 また、親子とも内向型の場合は、親がそれで苦労した経験上、過度に心配してしまうことがあるという。子供は自分とは別の人間なのだと理解し、子供が神経質になっている場面では「自分もそうだった」と言える親でいればいい。

 内向型の人間は、人と接することでエネルギーを消耗する。外向型は、逆にそれでエネルギーをチャージする。これはまるで異星人ではないか。そういう人もいるということをお互いに理解し合いたいものである。
 そして内向は決して「悪」ではない。それで悩んでいる6,000万の人たち(一説によると半数は内向だという)に、この本を強くすすめたい。

 さて、なぜ簡潔さを心掛けたかというと、こんな実験結果が書かれていたからだ。50人の被験者に難しいジグソーパズルをさせたところ、外向型は内向型よりも途中であきらめる確率が高かった……いや、外向型は目標をすばやく見極める能力には長けている。ただ少し飽きっぽいらしい。
100点

ワタシの一行
(ファースト・レディにして国連代表団の一員として政治手腕を発揮したエレノア・ルーズベルトについて)
「彼女は傷つきやすさがもたらす苦しみから逃れることはなかった。(略)『内気な人間というものは一生内気なままなのでしょうが、それを乗り越える方法を学ぶのです』と彼女は言った。」(単行本 P.178)


カレル・チャペック(新潮社)

 テリアという犬は、けっこう気が荒いと聞いてはいたが、そのやんちゃぶりをこういう作品にされると、まぁなんてかわいらしく思えるのだろう。イラストも筆者が描いたものだそうで、パクッてここに載せてしまいたいくらいかわいい。
 ウチの小梅も花壇を引っ掻き回してくれるけど、この作品のおかげで、やっとそのわけがわかった。
65点
J.M.クッツェー(早川書房)

 筆者は2003年にノーベル文学賞を受賞、ということで小難しい作品なのかと思ったら、そんなことはなかった。
 52歳の大学教授が教え子に手を出し、人生まっ逆さま、そんなストーリーである。彼の絶倫ぶりに驚くと同時に辟易させられた(誘いに乗るほうも乗るほうなのだが)。

 しかしながら、本書の「言いたいこと」は、どうやら彼のその後、にあるようだ。
 セクハラで訴えられた彼は大学を追われ、片田舎に住む娘のところに転がり込む。農園を切り盛りする娘は、自給自足しながら底辺の暮らしをしていた。当初それを新鮮に感じた彼だが、やがてひとつの事件が起き、平穏な生活は一気に崩れる。
 この後半部分の、娘と娘を取りまく人々には、まったくいらいらさせられた。事なかれ主義とも違う、雑で曖昧な生き方。あらゆる事実に背を向ける姿勢が、信じ難かった。

 こんな書き方だと、まるで嫌な作品のようだが、エロティックなシーンにどぎつさはなく、突き放すような文章も良かった。読了感は悪くはない。
75点
ニコルソン・ベイカー(白水社)

 サラリーマンらしきある男が、会社の昼休みに買い物などを済ませて、エスカレーターで中二階にあるオフィスに戻ろうとしている。そのエスカレーター上の数十秒間の彼の思考が、まるまる一冊の本になってしまった。

 こんな風変わりな小説は初めて! 場面が、エスカレーターから金輪際動かない(もっとも彼の思考はあちこち飛びまくるのだが)のも驚いたが、長い長い注釈にも驚いた。それが作品の半分くらいを占めているのだが、本文を読んでは注釈を読み……という作業は、字が小さいのも相まっていささか疲れた。

 彼の微に入り細を穿つ思考は、ときに小気味良かった。ポップコーンの意外性に同意し、製氷皿の歴史のくだりではノスタルジーに浸った。
60点
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