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恥辱

J.M.クッツェー(早川書房)

 筆者は2003年にノーベル文学賞を受賞、ということで小難しい作品なのかと思ったら、そんなことはなかった。
 52歳の大学教授が教え子に手を出し、人生まっ逆さま、そんなストーリーである。彼の絶倫ぶりに驚くと同時に辟易させられた(誘いに乗るほうも乗るほうなのだが)。

 しかしながら、本書の「言いたいこと」は、どうやら彼のその後、にあるようだ。
 セクハラで訴えられた彼は大学を追われ、片田舎に住む娘のところに転がり込む。農園を切り盛りする娘は、自給自足しながら底辺の暮らしをしていた。当初それを新鮮に感じた彼だが、やがてひとつの事件が起き、平穏な生活は一気に崩れる。
 この後半部分の、娘と娘を取りまく人々には、まったくいらいらさせられた。事なかれ主義とも違う、雑で曖昧な生き方。あらゆる事実に背を向ける姿勢が、信じ難かった。

 こんな書き方だと、まるで嫌な作品のようだが、エロティックなシーンにどぎつさはなく、突き放すような文章も良かった。読了感は悪くはない。
75点
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