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極北で

ジョージーナ・ハーディング(新潮社)

 1616年の北極海。一隻の捕鯨船が帰国の途に着こうとしていた。たった一人、極北の地に一年間留まることを宣言した男、トマス・ケイヴを残して。無謀ともいえる賭けに乗った彼の、地獄のような一年が始まる……。

 ひどい寒さのほかに、どんな困難があるのだろうか? と思いながら読み進めると、ほどなくして彼は幻影に苛まれるようになった。いないはずの愛妻が現れる。それとともに、彼の悲しい過去も明らかとなる。
 過去から逃れたくて、ケイヴは自暴自棄になっていたのだろうか? いや、彼はつらい過去を初めから終いまで思い返し、咀嚼して、乗り越えようとしたのであろう。日誌をつけ、狩りが出来る日は出掛けて行き、甘美な罠(=幻影)に打ち勝とうと必死に努力するケイヴ。その精神力には畏怖の念さえ抱いた。
80点
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