よしもとばなな(文藝春秋社)
短編集。
五つの作品のなかで、私は「幽霊の家」が気に入った。
ロールケーキの店を継ぐことになっている岩倉くんと、洋食屋を継ぐことになっているせっちゃん。
同じ大学に通う二人は、ごく自然に惹かれあった。岩倉くんの住む安アパートには、老夫婦の幽霊が出るのだが、岩倉くんもせっちゃんも、幽霊がちっともこわくなかった。かえってその話題で和むほどだった……。
海外へ修行に行っていた岩倉くんが帰国して、せっちゃんと再会するシーンが圧巻だった。時間が無限に広がってゆくイメージ、暖かい光に包まれるイメージが、美しく描写されている。少し宗教的なにおいがして、嫌悪感を抱きそうにもなるが、よしもと氏はその一歩手前でうまくかわしてくれている。
その他、よしもと氏が自分の作品の中で、いちばん好きだと書いている「デッドエンドの思い出」は、ラスト三行がとても印象深かった。
90点
短編集。
五つの作品のなかで、私は「幽霊の家」が気に入った。
ロールケーキの店を継ぐことになっている岩倉くんと、洋食屋を継ぐことになっているせっちゃん。
同じ大学に通う二人は、ごく自然に惹かれあった。岩倉くんの住む安アパートには、老夫婦の幽霊が出るのだが、岩倉くんもせっちゃんも、幽霊がちっともこわくなかった。かえってその話題で和むほどだった……。
海外へ修行に行っていた岩倉くんが帰国して、せっちゃんと再会するシーンが圧巻だった。時間が無限に広がってゆくイメージ、暖かい光に包まれるイメージが、美しく描写されている。少し宗教的なにおいがして、嫌悪感を抱きそうにもなるが、よしもと氏はその一歩手前でうまくかわしてくれている。
その他、よしもと氏が自分の作品の中で、いちばん好きだと書いている「デッドエンドの思い出」は、ラスト三行がとても印象深かった。
90点
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