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よしなしごとども 書きつくるなり
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山田風太郎(光文社)

 山田風太郎のミステリー傑作選の第一巻。十個の作品が収められている。
 私が気に入ったのは長編「誰にも出来る殺人」。
 ぼろアパートの一室に一冊のノートが残されていた。間借人たちが、彼らに起きた「事件」を次々に書き記したノートであった。
 この手法は面白い。間借人たちのキャラクターが存分に活かされている。次第にノートへの記述が増えていって、間借人たちの恐怖感が連鎖していくさまも説得力がある。
 オチ、というか裏の仕事人は予想がついたが、その正体には面食らった。ホラーっぽい。
80点
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山田悠介(幻冬舎)

 西暦3000年。わがままな国王は、500万人の「佐藤」姓の人間を皆殺しにすることを決めた。7日間にわたる壮絶な鬼ごっこが始まった。

 着想は良いかもしれない。だが、あまりにも文章が素人くさくて脱力した。セリフはまるでマンガの世界、これは作品というより作文であろう。
 筆者はほとんど本を読んだことがないそうだ。そういう人が書く文章、推して知るべしである。
 本を読めば良い文章が書けるというものではないだろう。しかし本を読まずして良い文章は絶対に書けないと私は思う。
15点
山本周五郎(新潮社)

 短編集。うまい。どれもこれも示唆に富んだ、すばらしい作品ばかりである。金言に満ち溢れている。
 歴史の中に埋もれてしまった女性達。名を遺すこともなかった彼女達に光をあてて、賞賛に値する生き方を描きだしている。
 つつましく清廉な彼女達は、時代を変える、底知れぬ強さを併せ持っていたのである。

 ところで「桃の井戸」という作品のなかで次のような言葉が出てくる。
 「あなたはものごとを力んで考え過ぎますよ、もっと気持ちを楽に……」。自分に言われたのかと思った。
85点
山本夏彦(新潮社)

 雑誌「室内」に連載されていたコラムを集めた短文集。
 本作品が単行本として出たのは昭和37年。だが、今読んでも古臭さは感じない。
 たとえば、昨今婦女子は出れる、出れないと、ら抜き言葉を使うと嘆じる一節がある。
 たとえば、寿司屋で。客を馬鹿にする寿司職人とへつらう客の、主客転倒を観察する一節がある。
 それは今現在も人々の口にのぼる話題であろう。
 また、思わず苦笑してしまう話もあった。「すべて婦人は、自分を美人の一種だと思っている。すくなくともその一種だと思っている」などという文章は、まさに言いえて妙である。
65点
山本文緒(集英社)

 もっとベタベタした、クサい話を想像していたのだが、そうでもなかった。乾いた文体で、余計な描写がなくて、その点では良かった。
 でも内容は……ここに出てくる女達、私は嫌いです。淋しいからって、すぐ男を誘うな、と言いたい。自分は辛い、自分は可哀想、自分は自分は。聞きたくない。
 ちょっと光が見えたらしいラストが多いが、勝手にしろと言いたくなった。作者の文章自体は嫌いではないので、もっと違うタイプの話が読みたい、そういうのがあれば、の話だが。
45点
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