[1]
[2]
群ようこ(集英社)
この世に、おばさんが着る服はないのか? 50代半ばの筆者が思う、服についてのあれこれ。
私より少し年上の群氏だが、何か参考になるかな? と思って手に取ってみた。結論、参考にはならなかった。ここに書かれているのは「お悩み解決法」ではなく「いまだ悩んでいるおばさんのつぶやき」なのだから。
参考にはならないが、共感できたところはあった。使い捨て前提の、安かろう悪かろうな服ばっかり。そのくせ格上げを狙ってアクセサリーを買おうとすると、今度はとんでもなく高い。ひと昔まえは、名もないブティックでもそこそこセンスが良くて手頃な値段のアクセサリーを売っていたのに。そんな話。
当然、共感できない話もあった。がんばっておしゃれをしている人を貶すような話。中高年になってもパーマ&カラー&巻き髪の女性に「無理してない?」。努力する人を見下すのはいただけない。
久々に群氏のエッセイを読んだが、昔ほど楽しめなかった。こんなに毒舌だったとは知らなんだ。
60点
PR
群ようこ(角川書店)
私もその昔、何が何でもアメリカへ行って永住するつもりだった。アメリカに行けばどうにかなる、と信じ込んでいた。
この本の作者も似たようなことを考えて渡米、それにまつわるエッセイが本書である。
しかしながら、アメリカ女性というのはキョーレツ。明るくて朗らかで大らかで、なんてことはないのである。人の陰口言いまくり、自慢話しまくり。とにかくパワフル。読んでいる分にはおもしろいけど、実際相手にした日にゃあ、きっとげっそりだと思う。
70点
私もその昔、何が何でもアメリカへ行って永住するつもりだった。アメリカに行けばどうにかなる、と信じ込んでいた。
この本の作者も似たようなことを考えて渡米、それにまつわるエッセイが本書である。
しかしながら、アメリカ女性というのはキョーレツ。明るくて朗らかで大らかで、なんてことはないのである。人の陰口言いまくり、自慢話しまくり。とにかくパワフル。読んでいる分にはおもしろいけど、実際相手にした日にゃあ、きっとげっそりだと思う。
70点
室井滋(文藝春秋社)
私ったら、いつのまにエッセイを書いてしまったのかしら?と思ったほど、私が経験したことが書かれていた。
まず「満開少女」。
病弱を気取りたくて、友人に自分は心臓弁膜症だと言ってしまう話。私もいつか白血病になるはずだと思い込んでいた。
それから「赤目」。
突然白目の部分が真っ赤になってしまった話。
それは充血と呼ぶにはあまりに激しい、血を塗ったような「赤」で、私も驚いて医者に駆け込んだことがある。毛細血管が切れただけで、あまり心配はなかったのだが。
他にも俳優ならではの面白い経験がたくさん載っていて、楽しく読めた。
70点
私ったら、いつのまにエッセイを書いてしまったのかしら?と思ったほど、私が経験したことが書かれていた。
まず「満開少女」。
病弱を気取りたくて、友人に自分は心臓弁膜症だと言ってしまう話。私もいつか白血病になるはずだと思い込んでいた。
それから「赤目」。
突然白目の部分が真っ赤になってしまった話。
それは充血と呼ぶにはあまりに激しい、血を塗ったような「赤」で、私も驚いて医者に駆け込んだことがある。毛細血管が切れただけで、あまり心配はなかったのだが。
他にも俳優ならではの面白い経験がたくさん載っていて、楽しく読めた。
70点
望月諒子(集英社)
文芸誌の編集長である三村は、あるとき広瀬と名乗る医師からの連絡を受ける。彼の患者が突然小説を書き始めた、患者は三村のことを知っていて、彼に原稿を送ると言っているという。
小説のタイトルや内容を聞いて、三村は愕然とする。それは失踪したある作家志望の女性が、以前彼に見せたそれと同じだったのだ……。
途中まではホラーの匂い漂うストーリーなのだが、ミステリーらしいオチもあり、霊が、怨念が、というただ怖いだけの話ではなかったのが良かった。
ただ、いろいろな要素が絡み合って……失踪した女性の行方、盗作疑惑、幼児誘拐事件……少々盛り込みすぎの感がある。作中作の引用もしつこ過ぎる気がした。
75点
文芸誌の編集長である三村は、あるとき広瀬と名乗る医師からの連絡を受ける。彼の患者が突然小説を書き始めた、患者は三村のことを知っていて、彼に原稿を送ると言っているという。
小説のタイトルや内容を聞いて、三村は愕然とする。それは失踪したある作家志望の女性が、以前彼に見せたそれと同じだったのだ……。
途中まではホラーの匂い漂うストーリーなのだが、ミステリーらしいオチもあり、霊が、怨念が、というただ怖いだけの話ではなかったのが良かった。
ただ、いろいろな要素が絡み合って……失踪した女性の行方、盗作疑惑、幼児誘拐事件……少々盛り込みすぎの感がある。作中作の引用もしつこ過ぎる気がした。
75点
森鴎外(新潮社)
表題作が有名どころだが、私が一番気に入ったのは「杯」である。
11、2歳くらいの数人の女の子が、泉のほとりで、銀の杯で水を飲んでいる。そこへ碧眼の少女がやってきて、やはり水を飲もうとするのだが……。
ほんの数ページの短い作品であるが、そこには選りすぐりの美しい日本語が、詩のように並んでいる。
少女たちの赤いリボン、泉に投げ入れられたほおずき、銀の鈴を振るような笑い声。こんな情景描写に出会えるから、日本のちょいと昔の純文学を読むのは止められない。
80点
表題作が有名どころだが、私が一番気に入ったのは「杯」である。
11、2歳くらいの数人の女の子が、泉のほとりで、銀の杯で水を飲んでいる。そこへ碧眼の少女がやってきて、やはり水を飲もうとするのだが……。
ほんの数ページの短い作品であるが、そこには選りすぐりの美しい日本語が、詩のように並んでいる。
少女たちの赤いリボン、泉に投げ入れられたほおずき、銀の鈴を振るような笑い声。こんな情景描写に出会えるから、日本のちょいと昔の純文学を読むのは止められない。
80点