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よしなしごとども 書きつくるなり
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三島由紀夫(新潮社)

 「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり」という言葉で有名な「葉隠」。その書に対する、三島なりの解釈を表した一冊。

 周知の事実であるが、三島は割腹自殺を遂げた。そのことを思うに付け、彼が葉隠に心酔したわけが透けて見えるようである。常に死を意識し、それを身近なものとして捉えているのが葉隠なのである。
 また、次のような一文もある。「上役には煙たがられるような存在であれ」。
 それを受けて三島は、人に煙たがられることが避けられないのは『人に軽蔑されるくらいなら、死んだほうがましだ』という、信念ゆえである、とも明言している。そのような解釈は、彼の孤独感、厭世観から来ているようにも感じられた。

 一冊の書物に自らの行動規範を置く危険性を、三島が身を持って示してくれたかのような作品であった。
50点
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