三崎亜記(集英社)
ある日、地元の広報紙に掲載された「となり町との戦争のお知らせ」。「僕」は理解も納得もできぬまま、敵の偵察業務をすることを命じられる。
ただ、戦争とは言っても、戦車が街を行きかうわけでなし、銃声が響くわけでもない。それなのに、広報紙には「戦死者」の数だけが載っている……。
町が、ひとつの政策として戦争を遂行する、という不気味な設定が効いている。そこには個人の思いが入り込む余地はないし、すべては、人の死さえ事務的に処理されていく。
その静けさ、容赦のなさがとても恐ろしかった。
全体的には気に入ったが、香西さんとの恋愛じみた話はいただけなかった。
彼女の代わりに、職務と自己の間で揺れる、繊細な男性を登場させたほうが、よりストーリーが引き締まったのではないだろうか。
70点
ある日、地元の広報紙に掲載された「となり町との戦争のお知らせ」。「僕」は理解も納得もできぬまま、敵の偵察業務をすることを命じられる。
ただ、戦争とは言っても、戦車が街を行きかうわけでなし、銃声が響くわけでもない。それなのに、広報紙には「戦死者」の数だけが載っている……。
町が、ひとつの政策として戦争を遂行する、という不気味な設定が効いている。そこには個人の思いが入り込む余地はないし、すべては、人の死さえ事務的に処理されていく。
その静けさ、容赦のなさがとても恐ろしかった。
全体的には気に入ったが、香西さんとの恋愛じみた話はいただけなかった。
彼女の代わりに、職務と自己の間で揺れる、繊細な男性を登場させたほうが、よりストーリーが引き締まったのではないだろうか。
70点
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