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よしなしごとども 書きつくるなり
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天童荒太(文藝春秋社)

 筆者が『悼む人』を執筆するにあたり、主人公・静人の心情に近付こうと三年間にわたって書いた、「静人」の日記。
 読もうか読むまいか散々迷って、結局読んだ。寝る前に、毎日毎日いろんな人の死に様を読んだ。新聞や人づてに知る死、その多くは非業の死である。読んでいて気分が良いわけがない。
 でも何らかの結論というか、意味付けというか、そういうものが最後には用意されているのかと思い、読み続けた。
 以下ネタバレ(?)あり

  が、決定打は何も書かれていなかった。それどころか、終盤で登場するある女性が、静人に数々の疑問や助言を投げ掛けるのだが、彼は、まず「反論ありき」といった態度で、彼女の(あるいは読者の、と言い換えても良いかもしれない)言葉には耳を貸さなかった。
  そこまで読んで、ようやく私も気付いた、彼は傲慢だと。神の使いにでもなったつもりかと彼に詰め寄りたい心境になった。

  唯一無二の命は、静人のそれだって同じはずなのに、彼は自分の命、人生は軽んじている。そこに大きな矛盾を感じた。

70点
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