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よしなしごとども 書きつくるなり
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太宰治(新潮社)

 井原西鶴の作品を太宰流にアレンジした「新釈諸国噺」は、多数のショート・ショート。
 いわゆる「武士道」の理不尽さ加減、あるいはくだらないこだわりに、いちいち感嘆してしまった。こんな時代に生きた人達は、さぞかし大変だったろう。

 浦島太郎のパロディである「浦島」は、低俗すれすれの絶妙なバランス感覚が良い。
 ここに出てくる亀は雄弁で、小心者の浦島をこきおろしたりして痛快である。また竜宮城の在り方も、太宰が考える「真の幸福」論を垣間見ることができるようで興味深い。
90点
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太宰治(新潮社)

 太宰は読む前から好きだった。本から「ゆううつ」が立ち昇ってくるような雰囲気が。読んで見て、やはりハマった。
 特にこの作品。自分はダメな人間だと思い込んでいる主人公は、学校では「ひょうきん者」になりすましている。でも級友になにげに「ワザ、ワザ」と指摘されて、がーんっていうくだり、何度読んでも血の気が引いてゆく。B級、いやA級ホラー小説より底知れぬ恐怖を感じる。
 太宰は代名詞のように「暗い」と言われるが、この作品は暗いのではなく「深い」。
100点
多島斗志之(角川書店)

 精神科医である榊は、十七歳の少女の担当医となる。彼女の病気は分裂病か、境界性人格障害か、榊は診断を下しかねていた。臨床心理士の広瀬由紀は彼女を多重人格ではないかと進言するが、榊はなかなか同意できなかった……。

 よく調べて書いたんだろうな、というのが第一印象。精神を病むというのは、こういうことかと合点がいった。そして衝撃的でもあった。
 同時進行する博物館の贋作にまつわる話も、これまた飽きさせない。やがて二つの話が絡まりあってゆく部分もそつがなくてうまい。
 ただ、ラストだけが少々違和感があった。少女の病気の表面化があまりにも急な気がした。
80点
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