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日日の麺麭 / 風貌

小山清(講談社)

 太宰治にその才能を愛されたという筆者の短編集。
 ごく普通の人々の生活を、飾らない、ほとんど素っ気無いと言ってもいいほどの言葉で描いている。静謐で美しい文章である。

 『落穂拾い』、『日日の麺麭』といった短編も素晴らしいのだが、太宰について書いた『風貌』という作品がまた良い。
 筆者が初めて太宰を尋ねて行ったときのこと。
 作品に対する太宰の評……「僕がいいと云えば、天下無敵だよ」。
 金を無心したら、太宰はスズランの花を小切手に同封したという。
 それらのエピソードが、太宰に心酔している私の心には感慨とともに染み入ってきた。
 筆者を思いやる太宰の優しさ。ふとした拍子に見せる茶目っ気のある態度。鬱々として人生を楽しめなかったような印象のある太宰だが、心を開いた相手にはなかなか愛嬌のある人物だったらしい。
90点
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