忍者ブログ

漂流物

車谷長吉(新潮社)

 短編集。
 表題作の「漂流物」の中で語られる、おそらくは筆者の過去の出来事が胸に迫る。

 彼は会社を辞し、流れ流れて料理屋で働くこととなった。そこで出会った青川という男が、彼に打ち明け話をする。その凄惨な内容が、改行のない文章でもって、ぐいぐいと書かれている。
 「語り」は多分に「騙(かた)り」であり、語るということは血みどろであると筆者は言う。「書くな」と血族に言われたことまで書いてしまった筆者。身の破滅に通じるような告白をせずにはいられなかった青川に、筆者は自分の因業を重ね合わせて見たのであろう。
 そのほか、「愚か者」の中にある筆者による筆文字は、味わい深く、だがどこか寒々とした薄気味悪い文字であった。
70点
PR

この記事にコメントする

お名前
タイトル
メール
URL
コメント
絵文字
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
パスワード

カレンダー

10 2025/11 12
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 8
9 10 11 12 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

カテゴリー

フリーエリア

最新コメント

[11/10 まきまき]
[11/09 もか]
[11/02 まきまき]
[11/02 もか]
[10/31 まきまき]

プロフィール

HN:
まきまき
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

P R

カウンター

アクセス解析