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漂流物

車谷長吉(新潮社)

 短編集。
 表題作の「漂流物」の中で語られる、おそらくは筆者の過去の出来事が胸に迫る。

 彼は会社を辞し、流れ流れて料理屋で働くこととなった。そこで出会った青川という男が、彼に打ち明け話をする。その凄惨な内容が、改行のない文章でもって、ぐいぐいと書かれている。
 「語り」は多分に「騙(かた)り」であり、語るということは血みどろであると筆者は言う。「書くな」と血族に言われたことまで書いてしまった筆者。身の破滅に通じるような告白をせずにはいられなかった青川に、筆者は自分の因業を重ね合わせて見たのであろう。
 そのほか、「愚か者」の中にある筆者による筆文字は、味わい深く、だがどこか寒々とした薄気味悪い文字であった。
70点
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