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よしなしごとども 書きつくるなり
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熊谷達也(新潮社)

 七つの短編が収められている。『鈍色の卵たち』が良かった。
 集団就職をした教え子・聡に会うため、教師である貴子は東京へと赴く。聡は優秀で大人びた生徒だった。貴子は彼の才能を買って、働きながら夜間高校に進むよう指導したのだったが……。

 聡が書いた詩をとおして貴子が彼に惹かれてゆく部分がとても鮮烈だった。彼の感性が、才気が、彼女の心を揺さぶって淡い恋心を芽生えさせる。そこからラストまで、貴子の愛情や逡巡が細やかに描かれていて、容易に彼女に感情移入することができた。
70点
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