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東京島

桐野夏生(新潮社)

 無人島に漂着した清子と隆夫婦。その後、二十三人の日本の若者、十一人の中国人が島に流れ着く。清子以外は全員が男性という異常な環境のなかで、四十七歳の清子は女王然としてふるまうのだった……。

 清子の、あまりにもあけすけな自己中心っぷりに呆然としながら、しかしいっぽうでは感嘆しながら読んだ。極限状態のなか、彼女の「絶対生き抜いてやる」という執念は、ぐだぐだになった男より、よっぽど男らしく清々しく感じられた。
 また、この本の面白さは、その独特の地名にもあるだろう。謎のドラム缶が放置された浜は「トーカイムラ」。数人の死体が葬られた岬は「サイナラ岬」。小高くて平べったい岬は「コウキョ前広場」。言い得て妙。
 ラストの章がまた意外性たっぷりで読ませる。ある人物による聞き書きなので、どこまで本当の話か分からないのだが、それが逆にリアリティを感じさせるから不思議だ。
80点
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