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小川洋子(新潮社)

 短編集。
 短編というのは尻切れトンボだったり、あるいはいろいろ詰め込みすぎだったり、過不足のない作品というのは存外少ない気がする。が、この7編は素晴らしい。
 すぅっと物語は始まり、ここ以外はない、という場所に着地して終わる。

 特に印象的だったのは『ガイド』。
 「僕」のママはバツイチで、町で観光ガイドをして生計を立てている。ある日、「僕」はママの仕事に一日付き合うはめになる。バスの中では、隣に風変わりな小父さんが座ってきた。彼の職業は「題名屋」だと言う……。
 颯爽とガイドをするママを誇らしく思う少年の素直さ。ママのかわりに、小父さんに懸命に名所を紹介する健気さ。そして小父さんが少年に付けてくれた「題名」の深さ。
 どれもこれも、はっとするほど鮮やかに描かれていて、短編とは思えない味わい深い作品であった。
90点
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