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妄想気分

小川洋子(集英社)

 創作をめぐるエッセイ集。
 たくさんの文学賞を受賞されている大作家であるのに、なんて慎ましやかで人間臭いかたなのだろう。小川氏が好きだ度が一気にアップした。

 紹介したい部分があり過ぎて困るくらいだが、とりあえず「そこにいてくれる、ありがたさ」という一文が素晴らしかった。
 小・中・高校と、筆者にはほとんど友人がいなかったという。彼女がぼんやりしているうちに、女子たちは密やかにグループを形成し、気付けば置いてけぼりになっている、その繰り返しだったらしい。
 高校生のときの修学旅行では、部屋割りの際、彼女の名前はどこにも無く、しかも誰もそれに気付かなかったという。がしかし筆者はこの事実をさほど惨めとは思わず、むしろ面白がっている。

 大学生になって、筆者は無二の親友と出会う。大人になっても付き合いは続き(といってもたまに電話で話すくらいらしいが)、この世界のどこかに彼女がいてくれるだけで良いと筆者は書いている。いかに友人がたくさんいるかを自慢する人間が多い昨今、この潔さはどうだろう。
 私も一人でいるのは好きだが、ここまで腹を括れない。ヘタレな自分が恨めしくもなった。
95点
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