大崎善生(角川書店)
アダルト雑誌の編集者である山崎。彼のもとに、あるとき一本の電話が入る。それは19年前、彼が学生の頃に出会って別れた、由希子からの電話だった。
偶然出会って、やがて悲劇的な別れ方をしたふたり。山崎の胸に、思い出が蘇る。
山崎が、精神を病んでしまった友人に、記憶について語る部分が秀逸だった。
若い頃は己の感性を振り回して、他人に暴言を吐いた。それは何年経っても心から消えることはなく、後悔に苛まれる。だがやってしまったことは消せないのだから、記憶とうまく共存してゆくほかはない。そう彼は語る。
単純だけれど、説得力のある彼のセリフには共感することができた。
それから、小道具の使い方もうまい。どこまでも透明で静かなアクアリウム。二匹のチワワ。淡いレモン色のワンピース。映像で見せられたかのように、光景が目に浮かんできた。
90点
アダルト雑誌の編集者である山崎。彼のもとに、あるとき一本の電話が入る。それは19年前、彼が学生の頃に出会って別れた、由希子からの電話だった。
偶然出会って、やがて悲劇的な別れ方をしたふたり。山崎の胸に、思い出が蘇る。
山崎が、精神を病んでしまった友人に、記憶について語る部分が秀逸だった。
若い頃は己の感性を振り回して、他人に暴言を吐いた。それは何年経っても心から消えることはなく、後悔に苛まれる。だがやってしまったことは消せないのだから、記憶とうまく共存してゆくほかはない。そう彼は語る。
単純だけれど、説得力のある彼のセリフには共感することができた。
それから、小道具の使い方もうまい。どこまでも透明で静かなアクアリウム。二匹のチワワ。淡いレモン色のワンピース。映像で見せられたかのように、光景が目に浮かんできた。
90点
PR
この記事にコメントする