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ドナウよ、静かに流れよ

大崎善生(文藝春秋社)

 邦人男女、ドナウ川で心中。そんな新聞記事に導かれて、大崎氏がヨーロッパを旅する。33歳の自称指揮者の千葉と、19歳の女子大生、日実(カミ)に、一体何が起こったのかを描くノンフィクション。

 やりきれない物語であった。千葉という男性は虚言癖や妄想癖があって、ろくな人間ではないのである。一方日実は、繊細で美しく、お金持ちのお嬢様。そんな二人が出会い、恋に落ちる。日実は千葉にのめり込み、彼の嘘に気付きながらも、まるで母親のように愛情で包み込む。
 だが果たしてそれは「愛」なのだろうか。憐憫や同情じゃないと言い切れるのだろうか。そんな疑問が私の中でずっと渦巻いていた。
 ぶざまで情けない男性に対して「私が何とかしなければ」と思い込む日実のような女性が世の中にはいるようだが、それは相手のためにもならないと私は思う。そういう男性は放って置けばよいのだ、ただの甘ちゃんなのだから。

 この作品、読んでいる間は、まるでミステリーのように早く先が知りたくて仕方がなかった。でも読後感はかなり悪かった。うんざりしたと言っても過言ではない程に。
80点
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