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よしなしごとども 書きつくるなり
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内田春菊(文藝春秋社)

 自伝という事実に言葉を失った。この悲惨さは、柳美里か、内田春菊か。
 まるで傷付くためにあるような毎日。徹底的に利己主義の実母、鬼畜のような養父。そんな両親でも、子供は頼って生きていかなくてはならないという、閉塞感を突きつけられた。
 ウチも暴力、暴言は日常茶飯事だった。そして、そういう生活を送ることによって、私には人間不信な部分ができ、漠然とした焦燥感を、確かに植えつけられてしまった。
 そんなこんなで読んでいて非常に苦しかったが、作り事ではないという迫力にぐいぐい押されて一気に読了した。
 しかしながら、こういう親って立派な犯罪者だと思う。家族だからといって罪に問われないというのは理不尽だ。
60点
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歌野晶午(祥伝社)

 とある新興宗教の信者五名が、無差別爆破テロを実行し、無人島に逃げる。教祖は暫く経ったら海外へと脱出させてくれると言うが、どうやら彼らはただのスケープゴートだったらしい。

 序盤で「宗教」というものの暗部をあぶり出している。教祖の教えは絶対でそこに疑問を差し挟む余地はなく、服従することに喜びを見出す彼ら。
 その危険性に気付いたときには時すでに遅く、一人、また一人と命を失ってゆく……まったく同情する気にもなれない話である。
 とても短い作品で、まるで長編の下書きを読んでいるような気にもさせられた。しかし、ラストには含みのあるオチが付いていて、小さな余韻が残る作品であった。
65点
歌野晶午(文藝春秋社)

 主人公の成瀬将虎は、偶然の成り行きからとある会社を調査することになった。それは高額商品を売りつけて客の財産を搾り取る、悪徳商法の会社だった。しかも保険金殺人まで行っているらしい。成瀬の命懸けの調査は実を結ぶのか。

 ストーリーが、登場人物のみならず時間も錯綜するので、なかなか頭に入ってこなかった。でも文章は軽快だし、主人公のまっとうさ加減にも好感を持てた。
 ただ、大きな仕掛けが二つ隠されているのだが、一つは読んでいるうちに見当がついてしまった。私のような素人にも察しがつくとは……「2004年このミス」第一位には疑問を感じざるを得ない。
70点
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