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ツルゲーネフ・小川洋子(角川書店)
16歳の夏、「僕」は両親と一緒に別荘に来ていた。
そして「僕」は、隣に住む謎めいた少女に恋をした。傲慢で移り気な少女に「僕」は夢中になるのだが……。
はつ恋がこんな相手だったら災難である。
彼女に振り回される「僕」のとまどい、絶望が行間に見え隠れして、とても哀れに思えた。
イラストレーターの中村幸子氏の絵は、小川氏の文章にうまくマッチしていて良い。
すらりと白い少女の脚。夜の闇に紛れる、父親の漆黒のマント。イマジネーションをかき立てられる絵だ。
16歳の夏、「僕」は両親と一緒に別荘に来ていた。
そして「僕」は、隣に住む謎めいた少女に恋をした。傲慢で移り気な少女に「僕」は夢中になるのだが……。
はつ恋がこんな相手だったら災難である。
彼女に振り回される「僕」のとまどい、絶望が行間に見え隠れして、とても哀れに思えた。
イラストレーターの中村幸子氏の絵は、小川氏の文章にうまくマッチしていて良い。
すらりと白い少女の脚。夜の闇に紛れる、父親の漆黒のマント。イマジネーションをかき立てられる絵だ。
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C・V・オールズバーグ、村上春樹(河出書房新社)
ハリス・バーディックという謎の男。
彼は14の話を考え、1冊につき、見本となる絵を1枚だけ見せてくれたが、そのあと彼は行方不明になってしまった……。
絵はすべてモノクロだが、あふれるような色彩を感じさせてくれる。
柔らかそうな子供の髪。
夜のとばりに包まれる船と揺らめく水面、ランタンの淡い光。
幻想的でどこか不穏な、魅力的な絵本であった。
ハリス・バーディックという謎の男。
彼は14の話を考え、1冊につき、見本となる絵を1枚だけ見せてくれたが、そのあと彼は行方不明になってしまった……。
絵はすべてモノクロだが、あふれるような色彩を感じさせてくれる。
柔らかそうな子供の髪。
夜のとばりに包まれる船と揺らめく水面、ランタンの淡い光。
幻想的でどこか不穏な、魅力的な絵本であった。
蜂飼耳、大野八生(径書房)
ひとり暮らしののぞみさんの部屋に、おおきめの小鳥とちいさめの小鳥が住みついた。
コーヒーが好きなおおきめの小鳥。
無口で達筆なちいさめの小鳥。
ひとりと二羽の、物語。
のぞみさんの、執着しない、あっさりとした気質がいいと思った。
膨張する鳥かごも、自分の肩で眠る小鳥も、ぼんやりと受け入れる。
小鳥の旅立ちでさえ一瞬の喪失感はあるものの、やっぱり受け入れる。
そんなのぞみさんっていいな、と思った。
ひとり暮らしののぞみさんの部屋に、おおきめの小鳥とちいさめの小鳥が住みついた。
コーヒーが好きなおおきめの小鳥。
無口で達筆なちいさめの小鳥。
ひとりと二羽の、物語。
のぞみさんの、執着しない、あっさりとした気質がいいと思った。
膨張する鳥かごも、自分の肩で眠る小鳥も、ぼんやりと受け入れる。
小鳥の旅立ちでさえ一瞬の喪失感はあるものの、やっぱり受け入れる。
そんなのぞみさんっていいな、と思った。
マージェリィ・W・ビアンコ、酒井駒子(ブロンズ新社)
ビロードでできたおもちゃのうさぎは、ぼうやのお気に入り。
いつも一緒だったけど、あるときぼうやが病気になって……。
絵がすばらしい。
うさぎの愛らしさ、ぼうやの愛らしさに、思わず見入ってしまった。
木いちごや野うさぎといった脇役たちも美しく描かれている。
ストーリーもいい、特にラストが。
私が大切にしていたぬいぐるみも、このうさぎのような運命をたどってくれたかな、なんてがらにもなく思ってしまった。
ビロードでできたおもちゃのうさぎは、ぼうやのお気に入り。
いつも一緒だったけど、あるときぼうやが病気になって……。
絵がすばらしい。
うさぎの愛らしさ、ぼうやの愛らしさに、思わず見入ってしまった。
木いちごや野うさぎといった脇役たちも美しく描かれている。
ストーリーもいい、特にラストが。
私が大切にしていたぬいぐるみも、このうさぎのような運命をたどってくれたかな、なんてがらにもなく思ってしまった。
サイモン・ジェームズ(評論社)
レオンはママと二人でこの町に引っ越してきたばかり。
でも友達のボブがいるからさびしくはない……誰にも見えないけど、ボブはいつも一緒にいるから。
レオンが見ていた「ボブ」って一体誰? なんて無粋な疑問は置いておいて。
レオン君は六歳くらいかな? 家のドアもベッドも大きくて、彼の小ささ、さびしさを際立たせる。
ほとんどのページで一人ぼっちのレオン。
でも最後には……このラストの見開きのページがとても温かくて好きだ。
レオンはママと二人でこの町に引っ越してきたばかり。
でも友達のボブがいるからさびしくはない……誰にも見えないけど、ボブはいつも一緒にいるから。
レオンが見ていた「ボブ」って一体誰? なんて無粋な疑問は置いておいて。
レオン君は六歳くらいかな? 家のドアもベッドも大きくて、彼の小ささ、さびしさを際立たせる。
ほとんどのページで一人ぼっちのレオン。
でも最後には……このラストの見開きのページがとても温かくて好きだ。