忍者ブログ

ぼくははちぞう

葉 祥明(愛育社)




 はちどりの巣で卵から孵ったのは。
 羽があって、鼻が長い、蝶々のような象のような「はちぞう」だった。

 言わずと知れた葉祥明の絵。
 若草からディープスカイブルーへのグラデーションなど、中間色が夢のように美しい。

 ストーリーは単純なようでいて、個とは何かを問いかけてくるような深みもある。
 おまけに英訳まで付いていて
 「ちゅっちゅっちゅっ」
 と花の蜜を吸う音は
 「Surp surp surp」
 なんてことまで分かるのである。

PR

ボヴァリー夫人

フローベール、姫野カオルコ(角川書店)




 19世紀のフランス。
 夢見がちな少女エマは、医師シャルル・ボヴァリーと結婚する。シャルルは人は良いが、退屈な男だった。エマはついに不倫に走るのだが……。

 姫野カオルコの文がテンポ良く読ませる。「智恵子抄」をもじったり、「星影のワルツ」を挿入してみたり。
 そんなふざけているような手法が、長々とした心理、情景描写よりよっぽど優れた説得力を持つようだ。
 終盤の物悲しさも心に沁みた。きっと夫は、何があっても自分を許す……その予感に耐えられなくなるエマ。彼女の苦悩がひしひしと伝わってきた。

 木村タカヒロ氏による、コラージュを多用した絵も素晴らしい。絵と文章がお互いを高めあっている。

カレンダー

07 2025/08 09
S M T W T F S
1 2
3 5 6 7 9
10 11 12 13 15 16
17 18 19 20 22
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリー

フリーエリア

最新コメント

[08/22 まきまき]
[08/22 ぴーの]
[08/05 まきまき]
[08/05 ぴーの]
[07/27 まきまき]

プロフィール

HN:
まきまき
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

P R

カウンター

アクセス解析