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イレーネ・ディーシェ、ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー、ミヒャエル・ゾーヴァ(評論社)
オーストリアに住むウサギの王子、エスターハージー。彼はお嫁さん探しの旅に出る。行き先はドイツのベルリン。
「壁」の崩壊直前のベルリンで、彼が目にしたものとは。
この本の魅力は何といってもミヒャエル・ゾーヴァの挿絵であろう。
ウサギたちの愛らしいこと!
列車の椅子にちんまりと座る姿。鏡の前で、豹柄パンツをはいてポーズをとる姿。野原で二匹のウサギが寄り添う姿。
それらが深みのある色彩で、ぞくぞくするほど美しく描かれている。
ベルリンの壁の崩壊について、ウサギがシニカルにつぶやく。「壊すなら、最初から作らなきゃいいのにさ」。
主題は人間の愚かさか。だが不思議と説教臭さはない。
オーストリアに住むウサギの王子、エスターハージー。彼はお嫁さん探しの旅に出る。行き先はドイツのベルリン。
「壁」の崩壊直前のベルリンで、彼が目にしたものとは。
この本の魅力は何といってもミヒャエル・ゾーヴァの挿絵であろう。
ウサギたちの愛らしいこと!
列車の椅子にちんまりと座る姿。鏡の前で、豹柄パンツをはいてポーズをとる姿。野原で二匹のウサギが寄り添う姿。
それらが深みのある色彩で、ぞくぞくするほど美しく描かれている。
ベルリンの壁の崩壊について、ウサギがシニカルにつぶやく。「壊すなら、最初から作らなきゃいいのにさ」。
主題は人間の愚かさか。だが不思議と説教臭さはない。
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別役実・スズキコージ(ブッキング)
丘のてっぺんに住む、人殺しをなりわいとする三兄弟。
でももう十二年もお客がきていない。
というか、三人は人っ子一人、殺したことがないのであった……。
挿絵はスズキコージ氏お得意の極彩色、ではなく全編モノクロで描かれている。
それが「人殺し」「拷問」といった、おどろおどろしい言葉の雰囲気を和らげ、キモ楽しい世界を作り上げている。
終盤の、お婆さんが殺しのお願いをする部分がいい。
殺しても死なない、しぶといお婆さん。
これは「人の最期を人が決めるなんて傲慢」だという意味? それは深読みか?
丘のてっぺんに住む、人殺しをなりわいとする三兄弟。
でももう十二年もお客がきていない。
というか、三人は人っ子一人、殺したことがないのであった……。
挿絵はスズキコージ氏お得意の極彩色、ではなく全編モノクロで描かれている。
それが「人殺し」「拷問」といった、おどろおどろしい言葉の雰囲気を和らげ、キモ楽しい世界を作り上げている。
終盤の、お婆さんが殺しのお願いをする部分がいい。
殺しても死なない、しぶといお婆さん。
これは「人の最期を人が決めるなんて傲慢」だという意味? それは深読みか?
サラ・ミッダ、江國香織(ほるぷ出版)
子供の目からみた大人たちの身勝手さを、シニカルに描く。
サラ・ミッダの絵、そして手描き文字の原文ページと、江國香織による訳文のページがある。
原文のほうの絵はカラーで、訳文のほうはモノクロ。
これはどうしたって原文のほうで読みたいところだ……残念ながら英語力皆無の私には無理だが。
挿し絵は、繊細でそれでいて雑っぽい感じもあって、素晴らしい。
さらさらと流れるように描かれている文字もさりげなくていい。
最後に私が気に入った一文を紹介します。
YOU MUST NOT…(してはいけないこと)
Investigate seeds' growth(たねの育ちぐあいをさぐる)
……やっちゃうんだよね、つい。
子供の目からみた大人たちの身勝手さを、シニカルに描く。
サラ・ミッダの絵、そして手描き文字の原文ページと、江國香織による訳文のページがある。
原文のほうの絵はカラーで、訳文のほうはモノクロ。
これはどうしたって原文のほうで読みたいところだ……残念ながら英語力皆無の私には無理だが。
挿し絵は、繊細でそれでいて雑っぽい感じもあって、素晴らしい。
さらさらと流れるように描かれている文字もさりげなくていい。
最後に私が気に入った一文を紹介します。
YOU MUST NOT…(してはいけないこと)
Investigate seeds' growth(たねの育ちぐあいをさぐる)
……やっちゃうんだよね、つい。
工藤直子(小学館)
生まれたての動物や植物の写真に、短い詩が添えられている。
写真が本当に美しい。
子つばめの瞳の輝き。
日に透けるうさぎの耳。
つくしにしがみつくアマガエル。
見ていると思わず笑ってしまうほどの可愛らしさだ。
詩もまた良い。
写真にぴったりと合っている。
物言わぬ虫たちのつぶやきが聞こえてくるようだ。
娘に買った本だったが、私にとってもお気に入りの一冊となった。
生まれたての動物や植物の写真に、短い詩が添えられている。
写真が本当に美しい。
子つばめの瞳の輝き。
日に透けるうさぎの耳。
つくしにしがみつくアマガエル。
見ていると思わず笑ってしまうほどの可愛らしさだ。
詩もまた良い。
写真にぴったりと合っている。
物言わぬ虫たちのつぶやきが聞こえてくるようだ。
娘に買った本だったが、私にとってもお気に入りの一冊となった。