Back To The Past
よしなしごとども 書きつくるなり
白夜行
東野圭吾(集英社)
1973年、大阪で質屋の主人が殺される。事件は迷宮入りとなり、19年という歳月が経つ。被害者の息子・亮司と、容疑者の一人であった女性の娘・雪穂。成長した二人の周りでは、怪しい事件が次々に起きるが……。
主人公の二人が、心情をほとんど語らないという珍しい手法が採られている。そのせいか、読了してもよく分からない部分が多々あった。なぜ殺さなければならなかったのか、なぜレイプまでする必要があったのか。この二つだけでも本人の口から説明して欲しかった。
さらに最大の謎は、亮司が雪穂のためにここまで出来たのはなぜかということである。二人の間に愛情があったのかどうかも記述されていないので、亮司の想いの重さが量れず、読んでいて困惑した。
この長さを飽きさせずに読ませる筆力はさすがとしか言いようがないが、余計なエピソードを盛り込みすぎのような気もした。
70点
1973年、大阪で質屋の主人が殺される。事件は迷宮入りとなり、19年という歳月が経つ。被害者の息子・亮司と、容疑者の一人であった女性の娘・雪穂。成長した二人の周りでは、怪しい事件が次々に起きるが……。
主人公の二人が、心情をほとんど語らないという珍しい手法が採られている。そのせいか、読了してもよく分からない部分が多々あった。なぜ殺さなければならなかったのか、なぜレイプまでする必要があったのか。この二つだけでも本人の口から説明して欲しかった。
さらに最大の謎は、亮司が雪穂のためにここまで出来たのはなぜかということである。二人の間に愛情があったのかどうかも記述されていないので、亮司の想いの重さが量れず、読んでいて困惑した。
この長さを飽きさせずに読ませる筆力はさすがとしか言いようがないが、余計なエピソードを盛り込みすぎのような気もした。
70点
PR
秘密
東野圭吾(文藝春秋社)
ごく普通のサラリーマンである杉田平介。彼の妻・直子と娘・藻奈美がバス事故に遭い、妻は死亡し、娘は奇跡的に助かった。
しかし意識を取り戻した娘が発した言葉は「あなた……」。娘の肉体に妻の意識が宿っていたのだった。
平介の揺れ動く心が丁寧に描かれている。娘を失ったような、妻を失ったような、どっちつかずの悲しみ。美しく成長してゆく直子に対する、妬みと猜疑心。さすが手だれの東野氏。
しかしながら、盗聴器のくだりはやりすぎではないだろうか。平介の人間性を疑ってしまった。
75点
ごく普通のサラリーマンである杉田平介。彼の妻・直子と娘・藻奈美がバス事故に遭い、妻は死亡し、娘は奇跡的に助かった。
しかし意識を取り戻した娘が発した言葉は「あなた……」。娘の肉体に妻の意識が宿っていたのだった。
平介の揺れ動く心が丁寧に描かれている。娘を失ったような、妻を失ったような、どっちつかずの悲しみ。美しく成長してゆく直子に対する、妬みと猜疑心。さすが手だれの東野氏。
しかしながら、盗聴器のくだりはやりすぎではないだろうか。平介の人間性を疑ってしまった。
75点
変身
東野圭吾(講談社)
強盗に銃で頭を打ち抜かれた青年・成瀬は、世界初の脳移植手術を受けた。
一命を取り留めた彼は、だが次第に性格が凶暴化し、元の性格を失なってゆく。自分が他人に侵食されていく恐怖……それは脳移植のせいなのか。
成瀬の「変身」ぶりが読ませる。初めは快活になれて良かったね、という程度のものだったのに、気が付いたら大悪党になっていた。彼の焦りは想像するに余りある。
ただ、物語の要所要所に女性が絡んでくるので、それが全体を軟派な印象にさせているような気がした。
70点
強盗に銃で頭を打ち抜かれた青年・成瀬は、世界初の脳移植手術を受けた。
一命を取り留めた彼は、だが次第に性格が凶暴化し、元の性格を失なってゆく。自分が他人に侵食されていく恐怖……それは脳移植のせいなのか。
成瀬の「変身」ぶりが読ませる。初めは快活になれて良かったね、という程度のものだったのに、気が付いたら大悪党になっていた。彼の焦りは想像するに余りある。
ただ、物語の要所要所に女性が絡んでくるので、それが全体を軟派な印象にさせているような気がした。
70点
ミミズクとオリーブ
芦原すなお(東京創元社)
不思議な能力を持つ小説家の妻。彼女は未解決の事件を、あらましを聞いただけで解決してしまう。
うーん、これは感想を書きづらい。嫌いではないが、設定に無理があるように思える。時代背景は「現代」だが、主人公の夫婦だけが、明治時代の文豪夫婦していて、それがどうにも……。妻が暴くトリックも、古めかしい。
それでもこの作品が醸し出す雰囲気、素直な優しい雰囲気は気に入った。
妻は料理上手という設定で、これが本当に食指を動かされる。カマスを焼いて、すり潰して、ムギ味噌と合わせて、直火であぶる……日本酒を冷やでつけてくれぃ。
70点
不思議な能力を持つ小説家の妻。彼女は未解決の事件を、あらましを聞いただけで解決してしまう。
うーん、これは感想を書きづらい。嫌いではないが、設定に無理があるように思える。時代背景は「現代」だが、主人公の夫婦だけが、明治時代の文豪夫婦していて、それがどうにも……。妻が暴くトリックも、古めかしい。
それでもこの作品が醸し出す雰囲気、素直な優しい雰囲気は気に入った。
妻は料理上手という設定で、これが本当に食指を動かされる。カマスを焼いて、すり潰して、ムギ味噌と合わせて、直火であぶる……日本酒を冷やでつけてくれぃ。
70点
怪笑小説
東野圭吾(集英社)
短編集。
『おっかけバアさん』が面白かった。
夫を亡くし、つましく暮らしていたおばあさん。ところがある役者に入れ揚げるようになり、全てを失ってゆく、というストーリー。
こういうことは年齢に関係なく起こり得ることだと思うが、主人公が歳を取ってる分だけ余計に哀れで、情けなさが倍加する。
オチも凄まじいが、でもおばあさんは本懐を遂げたふうにも取れ、だからこそ「笑って」いたのかもしれない。
65点
短編集。
『おっかけバアさん』が面白かった。
夫を亡くし、つましく暮らしていたおばあさん。ところがある役者に入れ揚げるようになり、全てを失ってゆく、というストーリー。
こういうことは年齢に関係なく起こり得ることだと思うが、主人公が歳を取ってる分だけ余計に哀れで、情けなさが倍加する。
オチも凄まじいが、でもおばあさんは本懐を遂げたふうにも取れ、だからこそ「笑って」いたのかもしれない。
65点
カレンダー
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[06/16 まきまき]
[06/16 ぴーの]
[06/10 まきまき]
[06/10 もか]
[06/09 まきまき]
最新記事
プロフィール
HN:
まきまき
性別:
女性