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六番目の小夜子

恩田陸(新潮社)

 ありゃ? って終わり方。すべての謎が解けきってないような。ま、私の読解力の無さがバレてしまいそうなので、これ以上は言いますまい。
 主人公の一人である「小夜子」は、スーパー美少女、頭脳明晰、etc……という設定。これはありがちな設定だが、私はいきなり現実に引き戻されてしまう。だって、そういう子、実際見たためしがない。
 ケチばっかりつけても何なので、良かったところは、講堂での芝居のシーン。怖かった。空気の張り詰め方がうまい。
60点
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石に泳ぐ魚

柳美里(新潮社)

 劇作家である梁秀香。彼女の作品を韓国で上演したいという依頼があって、現地へと向かう秀香。そこで彼女は里花という女性と出会う。里花の顔の中には、一匹の魚が棲んでいるのだった。雑踏を歩けば、あまり良い意味ではないほうの注目を浴びてしまうような魚が。
 こんなに「読まなければ良かった」と思わせる本も珍しい。何も得るものがなく、ただただ暗いばかりの世界である。
 人間のいちばん醜い部分だけを選りすぐって、突きつけられているような気分に陥った。しかも一片のユーモアさえ無い。
 この作品でモデルとなった女性に訴訟を起こされ、改訂してまで出版したかった柳氏という人が恐ろしくなった。
10点

告白

町田康(中央公論新社)

 河内の国の片田舎に生まれた熊太郎は、長ずるにしたがって極道者と成り果てていく。飲む打つ買うの日々ではあったが、彼にはそうなる理由があった。少年の頃に犯した罪が彼をがんじがらめにしていたのだ。どうせいつか捕まる身、まじめに生きるのは馬鹿らしい……やがて彼はとんでもない事件を起こす。

 「思弁的」という言葉を私は寡聞にして知らなかったが、熊太郎は自分をそう位置づける。思考と言葉が一致せず、考えているうちに何も言えなくなってしまう彼。
 誰しもそういうことはあると思うのだが、彼は自分だけが特別だと思っている。そのへんに彼の思い上がりというか、勘違いというか、敗因があったと思う。
 ラストで、熊太郎が自分の核心部分に触れるシーンの描写は迫力があった。心の奥底にあったものは……あぁやっぱり、というのが私の率直な感想であった。
85点

水辺のゆりかご

柳美里(角川書店)

 後味悪し。ディティールが……石鹸にへばりつくナメクジとか、ミスすると脇腹をつねるピアノ教師とか、枚挙にいとまがない。ぴか一は友人の父親に性的いたずらをされるシーン。私も自慢できるような家庭で育たなかったので、こういう大人達のどす黒い醜さを目にしてしまったクチである。だから読んでいて胸がムカムカした。
 子供だと思ってなめんなよ、理解できないフリしててやるけどさ……子供にそんなふうに思わせる大人は最低である。
75点

職人を泣かせて建てた300年住める家

荻原博子(角川書店)

 建材には向かないとされるクリの木を使って、木造軸組工法で家を建てた筆者の奮闘記。

 自分も家を建てる前にこの本に出会っていれば……とほぞを噛んだ。こじゃれた洋風建築に目を奪われ、和風と聞いただけで毛嫌いしていた自分がどんなにマヌケだったか思い知らされた。
 ただ、どんなに頑張っても、この筆者のマネはできないと思う。第一に豊富なコネ。こういう家造りは人脈がものをいう。それと金。ふた言目には「手が出ない」と言いつつ、かなりな資金力である。
 あまりに恵まれていて、苦労話も自慢話に思えてくる。次第に不快感が募る話ではある。
70点

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