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よしなしごとども 書きつくるなり
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山本文緒(集英社)

 もっとベタベタした、クサい話を想像していたのだが、そうでもなかった。乾いた文体で、余計な描写がなくて、その点では良かった。
 でも内容は……ここに出てくる女達、私は嫌いです。淋しいからって、すぐ男を誘うな、と言いたい。自分は辛い、自分は可哀想、自分は自分は。聞きたくない。
 ちょっと光が見えたらしいラストが多いが、勝手にしろと言いたくなった。作者の文章自体は嫌いではないので、もっと違うタイプの話が読みたい、そういうのがあれば、の話だが。
45点
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伊坂幸太郎(講談社)

 SEである渡辺は、ある出会い系サイトの仕様変更をすることになる。その仕事をしていた先輩は逃げ、客先とは連絡がとれない、と奇妙なことが続く。やがて渡辺はあることに気付く。その出会い系サイトは、複数のキーワードでたどり着いた人間を見張っているらしい……。
 ソフト会社の悲哀がこれでもかと書かれていて、内輪ネタっぽいがウケた。この納期は不可能だと上司に食ってかかる部下、工夫で乗り切れとのたまう上司。まさに業界あるある。
 閑話休題。
 「そういうシステム」という言葉が繰り返し出てくる。政治が動く。独裁者が現れる。人々が熱狂し、やがて醒める。それらは誰かが画策しているわけでない、そういうシステムなのだ、と。確かにそうかもしれない。どんな権力者だとて「駒」に過ぎず、世界は勝手に移ろいゆく。この作品にある言葉を借りるなら、そこに見いだせるのは虚無しかない。
 だから主人公たちは目の前にある問題から解いていく。小さなことからコツコツと(これも誰かの言葉だ)。
 虚しいと言って背を向ける前に、人には為すべきことがある。そんなメッセージをこの作品から感じとった。
80点
池波正太郎(新潮社)

 食についてのエッセイ。
 昭和四十年代に書かれた作品なので、時代的なズレはある。例えばキーウィが珍菓として登場したりする。
 しかしながら、本質的な部分は少しも色褪せておらず、「食」に興味の薄い私でさえとても楽しんで読むことができた。
 筆者が小学生のときの担任がカレーライスをご馳走してくれた話は、私も似たような経験があるので、胸に迫るものがあった。
75点
川崎草志(角川書店)

 ゲームソフト会社で働く汐路。彼女の会社で無理心中事件が起こり、やがて退職した彼女は、事件の謎を解くべく実家へと舞い戻る。

 ゲーム制作の裏話やら、目の錯覚を利用した建築手法やら、興味を惹かれるところは多い。だが肝心の謎解きの部分がさらっと流れてしまい、消化不良の感が否めない。
 それと汐路がよく独り言をつぶやくのだが、セリフに無理があると思った。不自然で下手。
60点
池田晶子(毎日新聞社)

 筆者が14歳の「君」に語りかける、生き方についての16の話。
 あとがきに「読みやすくエッセイふうに書いてみました」とあるが、中学生にはやっぱり難しいのではないだろうか。難しい言葉は確かにないが、筆者の真意をくみとって、深く考えることがはたして14歳に可能だろうか。まぁ余計なお世話だが。
 とりあえず「無理」と思ったら「はじめに」のところだけでも読むといいかもしれない。ここに筆者の言いたいことが凝縮されているような気がする。

 私が一番惹き付けられたのは「嫌いな人は嫌いでいい」というくだり。そのことにこだわらず、ただ存在だけ認めればいい、と筆者は言う。罪を憎んで人を憎まず(ちょっと違う?)、それが出来たら人生は楽になるかもしれない。
70点
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