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よしなしごとども 書きつくるなり
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柳美里(新潮社)

 劇作家である梁秀香。彼女の作品を韓国で上演したいという依頼があって、現地へと向かう秀香。そこで彼女は里花という女性と出会う。里花の顔の中には、一匹の魚が棲んでいるのだった。雑踏を歩けば、あまり良い意味ではないほうの注目を浴びてしまうような魚が。
 こんなに「読まなければ良かった」と思わせる本も珍しい。何も得るものがなく、ただただ暗いばかりの世界である。
 人間のいちばん醜い部分だけを選りすぐって、突きつけられているような気分に陥った。しかも一片のユーモアさえ無い。
 この作品でモデルとなった女性に訴訟を起こされ、改訂してまで出版したかった柳氏という人が恐ろしくなった。
10点
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