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よしなしごとども 書きつくるなり
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恩田陸(新潮社)

 エドワードとエリザベス。二人は時間を越え、空間を越えて幾度となく出会う。出会うたびに絶望的な別れを繰り返しながら……。

 読み終えて、呆気に取られてしまった。だから何なんだ、と。そして数々の疑問がわいてきた。
 これは輪廻に関する話なのだろうか。その場合、主役の二人が絶世の美男美女である必要性はあるのだろうか。
 なぜ登場人物が外国人なのだろうか。陳腐としか言いようがないキザなセリフは、それで格好がつくとでも思ったのだろうか。
 筆者は自分が好きな音楽や小説にインスパイア(?)されて本作品を書いたそうだが、どうりで独りよがりな雰囲気がぷんぷん漂っているはずである。

 (もう恩田氏の作品は読みません。こんな感想、自分も書きたくないし、ファンの方からしたら怒り心頭だろうし)
20点
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舞城王太郎(講談社)

 外科医である奈津川四郎は、アメリカで暮らしていた。彼は、母親が大怪我をしたという報せをうけ、急遽日本へ帰る。故郷の福井では、母親のみならず、主婦が殴打される事件が相次いでいた。四郎は自らの手で犯人を捕らえようと決意する。

 改行がなく、疑問符や感嘆符のあとの空白もない独特の文体は、みっしりと詰まった、主人公のエネルギーのようである。
 四郎は、ひねくれ者で暴力的だが、なぜだか憎めない。それは(正しいかどうかは別にして)とにかく己のポリシーに従って行動してるから、かもしれない。
 奈津川四兄弟の描写も面白かった。特に「TEN」、「ELEVEN」の章で語られる、主に父親と二郎に関するエピソードは、呆れながらもぞくぞくしながら読んだ。
 ただ、まるで……少年マンガのようではあったが。
70点
恩田陸(角川書店)

 その日、多くの人間が東京駅に来ていた。俳句のオフ会の待ち合わせをしてる老人あり。会社で配るお菓子を買いに来た、保険会社のOLあり。オーディションの帰りに、たまたま立ち寄った子役の卵あり。
 そんな人々の運命が、重なり合いもつれあい、東京駅は次第に混乱のるつぼと化してゆく。

 群像劇というよりはドタバタ劇か。でも恩田氏を見直すほど面白かった。謎めいた「MAZE」などよりよっぽど好きになれた。
 ただ、フォントをいじるのは止めて欲しい。素人の作家じゃあるまいし。
75点
恩田陸(双葉社)

 人もおいそれとは近付けないような荒野に、ぽつんと建つ「白い箱」。中に入った人間が消えてしまうその建物に、どんな秘密が隠されているのだろうか。調査に訪れた四人の男たちの一週間を描く。

 出だしは建物の謎に惹きつけられて、楽しんで読むことができた。
 だが後半はいただけない。特にあるページの最初の一行。これは卑怯だ。こういうことをしないで読者を怖がらせるのがミステリーだろう(読んでないかたには訳ワカラン文章ですみません)。ラストも何が言いたいのかよく分からない。

 どうやら恩田氏の作品は私には合わないらしい。もう読まないほうが良いかも。
65点
前川やく(有限会社鉤屋)

 ごく普通のサラリーマン、前川氏の書き下ろしエッセイ。
  前川氏のサイト「スレッジハンマーウェブ」(2005年閉鎖)も非常に面白いのだが、この本もまた、私のツボにぐりぐりとはまった一冊であった。
  「この世に並んでまで食うほどのものはない」とか「ホキ徳田のホキって?」とか「『萩の月』ならぬ『荻の月』ってのを見た」とか、本当に果てしなく面白かった。
  文章も落ち着いていて読みやすく、静かで皮肉な調子がすっかり気に入ってしまった。
採点なし
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