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百鬼園随筆

内田百間(新潮社)

 人を喰ったような百鬼園先生が、あちこちで巻き起こす珍騒動。特に面白かったのが、やはり借金話。
 借金取りがやってくるので、給料日が嫌だという。原稿料が入っても借金取りがやってくるので、文をひさぐことを止めたいという。
 そんなぐだぐだな話なのだが、どう考えてもヘンな話を、まじめくさって語る先生がおかしくてしょうがない。
 また、高利貸しを訪ねて行ったときに家を間違えてしまい、そこの家人に笑われて「私はかますの干物のように痩せ衰えて、その家を出た」とあって、ひひひひと笑ってしまった。

 それから他人のいびきは「ほら穴に泥水が吸い込まれるような、ぐわばッと云う音を発して破裂するのである」。
 随所にある、こういうとぼけた表現が本当に楽しかった。
 ※著者名の「間」の字は、本当は門構えに日ではなく月です。
80点
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直感サバンナ

ゲッツ板谷(角川書店)

 イカレた父、ヤバい弟を家族に持った男の、面白エッセイ集。
 くだらない話がてんこ盛りで、頭を空っぽにして読むには最適な作品かもしれない。

 そんな中にあって、異色だったのが「額縁の裏に……」という話。実話らしいのだが、これは怖い。こんな事実、知りたくなかった。記憶から消せたらどんなに良いだろう。
 と、こんなふうに書くと、気になるから立ち読みしてでもそこを読もうと思われるかたもいらっしゃるかとは思うが……止めておいたほうが良い、絶対。
60点

ファザーファッカー

内田春菊(文藝春秋社)

 自伝という事実に言葉を失った。この悲惨さは、柳美里か、内田春菊か。
 まるで傷付くためにあるような毎日。徹底的に利己主義の実母、鬼畜のような養父。そんな両親でも、子供は頼って生きていかなくてはならないという、閉塞感を突きつけられた。
 ウチも暴力、暴言は日常茶飯事だった。そして、そういう生活を送ることによって、私には人間不信な部分ができ、漠然とした焦燥感を、確かに植えつけられてしまった。
 そんなこんなで読んでいて非常に苦しかったが、作り事ではないという迫力にぐいぐい押されて一気に読了した。
 しかしながら、こういう親って立派な犯罪者だと思う。家族だからといって罪に問われないというのは理不尽だ。
60点

小池真理子(早川書房)

 「雛子」のような女性、実在するだろうか。いないでしょうね。自由奔放で、その行動は欲望の赴くまま。そして夫である信太郎もそんな妻を認め、愛し、喜びを感じていた。でも二人は一人の男の出現によって引き裂かれる……その男とは電気屋の店員。ここで私はのけぞった。いや、電気屋の店員が悪いというつもりはないが、雛子が選ぶ相手としてはいかにも不釣合いに感じられたのだ。

 ラスト、マルメロの木の話が良い。救われた気分になった。
70点

小泉八雲集

小泉八雲(新潮社)

 短編集。たくさんの短編が収められている。
 幼い頃に読んだり聞いたりした、いわゆる怪談話は、ほとんどこの本に収められていた。
 有名な『耳なし芳一のはなし』を始めとして、茶碗の中に誰かの顔が見えるという『茶碗の中』、斬首刑にされる罪人の意趣そらしをする『かけひき』など、今読んでも面白い話ばかりである。

 小泉八雲は本名ラフカディオ・ハーン、言うまでもないことだが生粋の日本人ではない。本文中、体重はポンド、距離はヤードで記されているところが、いかにもそれを感じさせた。
80点

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