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ぼくははちぞう

葉 祥明(愛育社)




 はちどりの巣で卵から孵ったのは。
 羽があって、鼻が長い、蝶々のような象のような「はちぞう」だった。

 言わずと知れた葉祥明の絵。
 若草からディープスカイブルーへのグラデーションなど、中間色が夢のように美しい。

 ストーリーは単純なようでいて、個とは何かを問いかけてくるような深みもある。
 おまけに英訳まで付いていて
 「ちゅっちゅっちゅっ」
 と花の蜜を吸う音は
 「Surp surp surp」
 なんてことまで分かるのである。

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ごんぎつね

新美南吉(偕成社)



 小学校の国語の教科書に抜粋が載っていたような、あやふやな記憶があった。
 で、ずっと気になっていて大人になってから絵本を買ったのだが、これが大感涙巨編(いや、長い話じゃないんだけど)だった。

 いたずらもののごんぎつねはいつも悪さばかりしているが、本当は優しくて思いやりがある。
 でもわかってもらえなくて、最後には……。
 童話がこんなに理不尽でいいのか? と疑問にさえ思えるラスト。

ボヴァリー夫人

フローベール、姫野カオルコ(角川書店)




 19世紀のフランス。
 夢見がちな少女エマは、医師シャルル・ボヴァリーと結婚する。シャルルは人は良いが、退屈な男だった。エマはついに不倫に走るのだが……。

 姫野カオルコの文がテンポ良く読ませる。「智恵子抄」をもじったり、「星影のワルツ」を挿入してみたり。
 そんなふざけているような手法が、長々とした心理、情景描写よりよっぽど優れた説得力を持つようだ。
 終盤の物悲しさも心に沁みた。きっと夫は、何があっても自分を許す……その予感に耐えられなくなるエマ。彼女の苦悩がひしひしと伝わってきた。

 木村タカヒロ氏による、コラージュを多用した絵も素晴らしい。絵と文章がお互いを高めあっている。

あかいふうせん

ラモリス・作、岸田衿子・文(偕成社)



 パスカルという男の子は、ある日不思議な赤い風船を見付ける。
 自分の言うことが分かって、自分の後を付いてくる風船。
 子犬みたいにいとおしい風船。

 何冊かあるこのシリーズ。
 いわさきちひろの絵が繊細で美しく、甲乙つけがたい良い作品ばかりである。

 この作品ももちろん、子供たちがとても生き生きと可愛らしく描かれていて素晴らしい。
 ちょっと暗いトーンの街中を、元気に走る歓声が聞こえてきそうである。

色の名前

近江源太郎監修(角川書店)



 「彼女の瞳はとび色で、髪は亜麻色ミスト・グリーンに染まった街をピジョンズ・ブラッドのドレスで歩いていた」
 ……はっきりと映像化できました?
 色の名前ってなかなか興味深い。
 私が好きな色は「黒」だが、好きな色の名前は「茄子紺」。
 この色のネーミングはこれしかないと思う。
 解説もいい。
 鴇色(ときいろ)の話は必見である、日本人として。
 (補足)私の持っているのは「色々な色」(光琳社出版)という本だが、現在は上のようなタイトルで出ているらしい。

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