ヘレン・マクロイ(東京創元社)
ベストセラー作家のエイモス・コットルは、とあるパーティーに招かれる。そこで「幽霊の2/3」という簡単なゲームをしている最中に毒殺される。エイモスを殺したのは一体誰なのか……。
殺人の動機や方法に目新しさはないが、人物造形が上手い。優柔不断で「No」が言えないエイモス。その妻であるヴィーラは、落ち目の女優だがプライドだけは高くて強欲。出版社の社長夫人であるフィリッパはあちこちで不倫中。エイモスのエージェントであるオーガスタスの妻・メグは、ヴィーラに対する罵詈雑言を書いた手紙を、誤って本人に送ってしまうという間抜けっぷり。
彼らはいろいろと気の利いたセリフを吐くが、特に秀逸だったのが文芸批評家のモーリスのこれだ。
不倫相手に結婚を迫られ、
「妻などいらない。ほしいのは自由だ。……(略)他者に対して望むことはただひとつ、私を放っておいてくれということだ」。
彼は筋金入りの孤独好きらしい。恐れ入った。
70点
ベストセラー作家のエイモス・コットルは、とあるパーティーに招かれる。そこで「幽霊の2/3」という簡単なゲームをしている最中に毒殺される。エイモスを殺したのは一体誰なのか……。
殺人の動機や方法に目新しさはないが、人物造形が上手い。優柔不断で「No」が言えないエイモス。その妻であるヴィーラは、落ち目の女優だがプライドだけは高くて強欲。出版社の社長夫人であるフィリッパはあちこちで不倫中。エイモスのエージェントであるオーガスタスの妻・メグは、ヴィーラに対する罵詈雑言を書いた手紙を、誤って本人に送ってしまうという間抜けっぷり。
彼らはいろいろと気の利いたセリフを吐くが、特に秀逸だったのが文芸批評家のモーリスのこれだ。
不倫相手に結婚を迫られ、
「妻などいらない。ほしいのは自由だ。……(略)他者に対して望むことはただひとつ、私を放っておいてくれということだ」。
彼は筋金入りの孤独好きらしい。恐れ入った。
70点
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