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よしなしごとども 書きつくるなり
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ジム・トンプスン(扶桑社)

 こういう本を読むと、しみじみ考えてしまう……性善説・性悪説。私は、ほとんどの人間は「善」で生まれてきていると思っている。でもほんの一握りの「悪」生まれの人間が、悪さをしているのではないだろうか。
 たとえばこの本の主人公。平気で人を殺して、しかも他人に罪をなすりつける。頭ん中、保身と女のことで一杯。こういう人間は、やはり善ではないだろう。

 この本は「このミステリーがすごい!2001年版」海外編で第一位を獲得している。しかも実際に執筆されたのは1960年代なのに、である。各界の有名人が(スタンリー・キューブリック監督など)、彼の作品を激賞している。
 しかしながら、この本のどこにそれほどの価値があるのか、正直わからない。時間が有り余っていて、日がな一日読書できるような状況なら、こういう本を読むのもまた一興。でも今の私はそうではない。なのにこの本……時間の無駄だった。
 もしかすると、キリスト教を否定するために書かれたのだろうか。何だか知らんが、傷んだモノを食べてしまったような読後感。
10点
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マイケル・ギルバート(東京創元社)

 時は第二次世界大戦中。イタリアの捕虜収容所では、英国の捕虜たちが、脱走すべく密かにトンネルを掘り進めていた。ところがそのトンネル内で崩落が起き、一人の捕虜が死亡してしまう。はたして彼の死は事故だったのだろうか。

 「登場人物」のページが三ページにもわたっており、しょっぱなからうんざりだった。しかも、それぞれの役柄をよく把握することが、ストーリーを理解する上で必須なのである。それを怠ると、謎解きのところで疑問だらけになる……私のように。
 そういう私の頭の悪さを差し引いても、面白い作品とは言えない気がした。終盤の大脱走劇のあたりは多少スリルがあったが、そこで謎を解いて終わりにしたほうが良かったと思う。
 15、16章は蛇足ではないだろうか。
55点
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