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よしなしごとども 書きつくるなり
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フェルディナント・フォン・シーラッハ(東京創元社)

 11の犯罪の記録。
 『正当防衛』が印象に残った。
 駅のホームで、2人のちんぴらに襲われた男。彼は2人を返り討ちにし、死に至らしめた。そのあまりの鮮やかな手腕に疑問を呈するものも現れるが……。
 事件はあっさり起き、男には緊張も激高もみられない。それが逆に不気味で、この男はいったい何者なのか? と疑問はふくらむ。彼は殺し屋なのか?
 それは最後の行を読めば言わずもがな。本筋にはまったく関係のないこの1行が効いている。

 他の作品も事件は淡々と描写され、最後の数行でオチがつく。そこには犯罪者の狂気、あるいは優しさ、つらさがさらりと描かれている。
80点

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