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千年の祈り

イーユン・リー(新潮社)

 アメリカに行きたいという友人のために、自分の恋人と偽装結婚させるという方法を思い付く三三(サンサン)。二人は無事にアメリカに行くが、偽装のはずだった結婚を続けるという。それから十年、三三のもとに二人が離婚したという知らせが届く。独身を通していた三三は戸惑うが……。

 十個の短編の中で一番気に入ったのが、こんなあらすじの『市場の約束』である。
 三三の独り身の悲哀がしんしんと伝わってきた。教職にあるものの、学校では浮いた存在であるらしい。煮玉子売りをしている母親は、無学で頑固。
 そんな閉塞感を打ち破るような事件がラストで起きるが、彼女の未来が相変わらず明るくは無さそうなのが哀れだ。
 この作品もそうなのだが、淡々とした語り口でありながら一種の「熱」を感じさせる作品が多かった。中国という国が人々の生活に暗い影を落としても、彼らはしぶとく生きていく……その根底に秘められた「熱」を見た気がした。
85点
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