パオロ・マウレンシグ(草思社)
「私」は、あるオークションで、名器と呼ばれるバイオリンを落札する。
ほどなくして、そのバイオリンの元の所有者に会ったことがあるという、小説家の男が訪ねてくる。男の話によると、その所有者というのは、天才的バイオリニストだったという……。
物語のメインは、天才的バイオリニスト・イエーネによる語りの部分である。
13歳で入学した音楽学校の、非人道的な厳しさ。ある女流バイオリニストに対する思慕の念。さらには音楽学校で出会った少年・クーノに対する感情。それらがキリキリと締め付けられるような緊迫感を伴って、綿密に描かれている。
なかでも、貴族としての確固たる後ろ盾があるクーノに対する羨望、あるいは嫉妬は、痛いほど伝わってきた。
ラストの種明かしは少し分かりづらく、読了したときに「あの人はどうなった?」という疑問も残ったが、ストーリー全体を流れる雰囲気がとても良い作品だった。
80点
「私」は、あるオークションで、名器と呼ばれるバイオリンを落札する。
ほどなくして、そのバイオリンの元の所有者に会ったことがあるという、小説家の男が訪ねてくる。男の話によると、その所有者というのは、天才的バイオリニストだったという……。
物語のメインは、天才的バイオリニスト・イエーネによる語りの部分である。
13歳で入学した音楽学校の、非人道的な厳しさ。ある女流バイオリニストに対する思慕の念。さらには音楽学校で出会った少年・クーノに対する感情。それらがキリキリと締め付けられるような緊迫感を伴って、綿密に描かれている。
なかでも、貴族としての確固たる後ろ盾があるクーノに対する羨望、あるいは嫉妬は、痛いほど伝わってきた。
ラストの種明かしは少し分かりづらく、読了したときに「あの人はどうなった?」という疑問も残ったが、ストーリー全体を流れる雰囲気がとても良い作品だった。
80点
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