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プリズンの満月

吉村昭(新潮社)

 戦犯を収容していた「巣鴨プリズン」。鶴岡は、そこで刑務官として働いていた。
 戦勝国による裁判で囚人となった日本人を、日本人が警備する、という世界でも例を見ない特殊な状況下にあった場所。
 鶴岡ら刑務官には銃の携帯が義務付けられていて、囚人に「それで我々を撃つのか」と訊かれるシーンなど、彼らのとまどいが良く理解できる部分である。

 史実と虚構が入り混じっているというが、昭和三十年代までこのような施設があったことは事実だそうだ。
 戦後というイメージからも離れていた時代。だが、巣鴨プリズンの中だけは戦後を引きずっていたのである。
 そこで無為な時間を過ごさざるを得なかった人々の苦悩は、深い。
70点
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