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よしなしごとども 書きつくるなり
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横山秀夫(講談社)

 人望のある現職の警部が、アルツハイマーに侵された妻を扼殺した。彼は自首したが、犯行から二日間の行動をひた隠しに隠す。全てを語ろうとしない「半落ち」状態に、周囲は首をかしげる。彼の秘密とは。
 これは素晴らしい。まず、余計な風景描写がないところが気に入った。

 事件を取りまく六人の男たちがストーリーを繋いでゆくのだが、構成には無理がなく、しかもラストに向かって一筋の流れを作っていて、その巧みさに息をのんだ。
 「空白の二日間」の謎解きは、予想が付く答えではあったが、それでも涙なしには読み進むことができなかった。
 殺した、殺されたの血なまぐさいミステリーに飽き飽きしてるかたにおすすめしたい、極上の一品である。
95点
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