山田風太郎(光文社)
山田風太郎のミステリー傑作選の第五巻。戦争をテーマにした、十一の作品が収められている。
一番の長編「太陽黒点」を紹介しよう。
アルバイトをしながら大学に通う明。同じアパートに住む容子とは恋人同士だった。彼らは慎ましく、穏やかな関係を育んでいた。だが大企業の社長令嬢である恵美子という女性が現れ、ふたりは次第に彼女に翻弄されてゆく。
いくら努力しても、生まれながらにして別世界に住む恵美子に敵わないという明の絶望に、深く考えさせられた。そういうふうに不平等なのは世の常である。安易に恵美子に取り入ろうとする彼に、容子ともども私も悲しくなってしまった。
そして、事件の鍵を握る人物による、ラストの独白。殺人の動機を知るに及んで、その無意味さ、理不尽さには息をのんだ。
75点
山田風太郎のミステリー傑作選の第五巻。戦争をテーマにした、十一の作品が収められている。
一番の長編「太陽黒点」を紹介しよう。
アルバイトをしながら大学に通う明。同じアパートに住む容子とは恋人同士だった。彼らは慎ましく、穏やかな関係を育んでいた。だが大企業の社長令嬢である恵美子という女性が現れ、ふたりは次第に彼女に翻弄されてゆく。
いくら努力しても、生まれながらにして別世界に住む恵美子に敵わないという明の絶望に、深く考えさせられた。そういうふうに不平等なのは世の常である。安易に恵美子に取り入ろうとする彼に、容子ともども私も悲しくなってしまった。
そして、事件の鍵を握る人物による、ラストの独白。殺人の動機を知るに及んで、その無意味さ、理不尽さには息をのんだ。
75点
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