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古井由吉(新潮社)

 連作短編集。
 その最後に収録されているのは『始まり』という一編。
 母親を亡くした男は、納骨のために出向いた寺である女性に会う。彼女は、男の母親の入院先で会ったことのある人だった。聞けば彼女の父親も亡くなったのだという……。

 とても難しい短編集であった。唯一意味が読み取れた思えたのは、この作品だけ。
 他のは過去と現在が入り乱れ、ずいぶん奇怪な話だと訝れば夢の話、加えて生々しい濡れ場があったりで、読んでいて途方に暮れてしまった。
 『始まり』も読み辛かったが、女性の半生が順を追って語られているので、何とか理解できた。
 病に侵されて次第に狂気をはらんでいく父親を、粛々と見守る娘。底知れぬ暗い穴を覗き込んでしまったような、胸騒ぎを覚える一編であった。
50点
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