中村文則(集英社)
失踪した立花涼子を探して、楢崎はある宗教団体にたどり着く。それは松尾正太郎という老人を中心とした、自由な集合体であった。
立花はそこにはおらず、怪しげな宗教団体・教団Xにいると聞き、楢崎は潜入する。教団Xは性の解放を謳い、信者たちは性に溺れていた。
やがて教団Xの幹部である高原はテロを計画するが……。
登場人物の設定がなかなか把握できず、私ボケちゃったか? とドキドキしちゃったさ。
でも「教団X」で検索しようとしたら「相関図」と候補が出たから、みんな苦戦してる?
で。
すごく面白い部分とそうでない部分の差がありすぎて、何と申し上げてよいやら。
松尾の語りの部分は面白かった。特に戦地で生きるか死ぬかの瀬戸際での想い。軍人は日本万歳でもって思想が硬化していた、別な考えを自分の中で深く咀嚼するのを恐れていた、なんて話。
宗教もそういうところ、ありますね。思想に飲み込まれて頭が硬化してしまう。理性的に語りかけても無駄、かっちかちやぞ。
対する教団Xの教祖である沢渡の話も、興味深かったです。
医師であった彼は昔、外国の貧しい村で、ある少女を救った。そのあとで、脅迫しながら彼女を凌辱した。自分が彼女の運命を握っているという全能感、苦しむ少女を見て欲情する心。相手の苦しみが快楽に繋がることに気付く沢渡。
彼の理路整然とした語りは、その狂気をも強引に納得させるだけの力がありました。
エロの部分は、否定はしないけどしつこかったですかね。この作品をセンセーショナルなものにするために、作者はここまで書いたのかな? なんて邪推してしまいました。
70点
失踪した立花涼子を探して、楢崎はある宗教団体にたどり着く。それは松尾正太郎という老人を中心とした、自由な集合体であった。
立花はそこにはおらず、怪しげな宗教団体・教団Xにいると聞き、楢崎は潜入する。教団Xは性の解放を謳い、信者たちは性に溺れていた。
やがて教団Xの幹部である高原はテロを計画するが……。
登場人物の設定がなかなか把握できず、私ボケちゃったか? とドキドキしちゃったさ。
でも「教団X」で検索しようとしたら「相関図」と候補が出たから、みんな苦戦してる?
で。
すごく面白い部分とそうでない部分の差がありすぎて、何と申し上げてよいやら。
松尾の語りの部分は面白かった。特に戦地で生きるか死ぬかの瀬戸際での想い。軍人は日本万歳でもって思想が硬化していた、別な考えを自分の中で深く咀嚼するのを恐れていた、なんて話。
宗教もそういうところ、ありますね。思想に飲み込まれて頭が硬化してしまう。理性的に語りかけても無駄、かっちかちやぞ。
対する教団Xの教祖である沢渡の話も、興味深かったです。
医師であった彼は昔、外国の貧しい村で、ある少女を救った。そのあとで、脅迫しながら彼女を凌辱した。自分が彼女の運命を握っているという全能感、苦しむ少女を見て欲情する心。相手の苦しみが快楽に繋がることに気付く沢渡。
彼の理路整然とした語りは、その狂気をも強引に納得させるだけの力がありました。
エロの部分は、否定はしないけどしつこかったですかね。この作品をセンセーショナルなものにするために、作者はここまで書いたのかな? なんて邪推してしまいました。
70点
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