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i アイ

西加奈子(ポプラ社)

アイは、アメリカ人の父と日本人の母を持つ。生まれはシリア、乳児のころ養子としてもらわれてきた。優しい両親、経済的にも恵まれた環境で育ったアイだったが、自分の出自については常に思うところがあった。なぜ自分がこんな幸運に預かれたのか? 自分はここにいていいのか……?

アイの健気さにまず打たれた。いつも裏の裏まで人の心を読もうとする。しかも相手に悟られないように。そして恵まれている自分の立場を、いつも計っている。世界中に不幸は在るのに、自分はぬくぬくと幸せを享受していていいのか、と。
こんな心情は中二病と名付けることもできそうである。しかしアイの揺れ動く気持ちをあの手この手で描き切ったこの作品は、そんな次元は越えて私の心に刺さった。
アイの友人・ミナもアイとは違う種類の悩みを抱えている女性。しかし彼女は強く聡明で、彼女が登場すると読んでいてほっと一息つけるような、そんな存在であった。

子どもから大人になるアイの成長譚でもあるこの作品。アイの周囲はデキた人ばかりで、そこが少し疑問ではあったが、感動できる部分が随所にあって、とても楽しい読書だった。
95点

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