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君は永遠にそいつらより若い

津村記久子(筑摩書房)

 大学四年のホリガイは、身長175cm、処女。就職先も決まって、暇な日々を過ごしていた。「変わった子」で通っている彼女は、自分の不器用さを持て余していた。あげく、つい無神経な言葉を吐いたりしては周囲を苛立たせるのだった……。

 こんな粗筋を紹介しても、この小説の面白さはちっとも伝わらない、と正直いま焦っている。小さなエピソードが折り重なってだんだんに「読み応え」を作り上げている作品なので、細部を取り上げてもしょうがないのだ。
 では大きなテーマは何か? それはもしかしたら暴力かもしれない。
 虐待を受ける子ども、レイプ、そして主人公自らも幼い頃、同級生に袋叩きにあった経験がある。程度の差はあれど、暴力に屈服せざるを得なかった人々に筆者は焦点を合わせる。そこに憐れみはなく、静かな怒りが渦を巻いている。
 尊厳を踏みにじられる弱き者たちを見過ごすなかれ。筆者のそんな思いを感じた。
90点
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