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金輪際

車谷長吉(文藝春秋社)

 短編集。
  どれもこれも、人間の奥底に潜む「悪」を突きつけるような、嫌な雰囲気の作品ばかりである。でも私はけっこうこういう世界は好きだ。
 表題作の「金輪際」。
 小学生の時に転校してきた澤田君は、とても利発な少年だった。彼の意地悪を、「私」は粛々と受け止め、子供らしい素直さをもって彼に接するのだった。しかし最後の最後まで「私」はコケにされ、大人になった現在、金輪際彼には逢いたくたくない、そう思うのだった。
 決して敵わない相手に対する憎悪が、澱のように溜まって、遂には溢れ出るさまがうまく描かれている。

 他に、随筆ふうの「変」もかなり恐ろしい作品だ。
 芥川賞を逃した夜、九人の選考委員に呪いをかけるべく、丑の刻参りをしたという。「死ねッ。」「天誅ッ。」と言いながら。ちょっと滑稽でもある。
80点
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