クラフト・エヴィング商會(筑摩書房)
昭和九年、クラフト・エヴィング商會の店主となった祖父。その孫である三代目が、祖父が使用していたトランクから、謎の旅行記を発見する。
アゾットという、聞いたこともない国に関する不思議な話。どうやらそれは「空想旅行」であったようだが、なぜ祖父は膨大で緻密な「嘘」をしたためる必要があったのか?
たくさんの言葉遊びが物語の中にちりばめられていて、とても面白かった。特にアゾットへ行くためのおまじない「ひい ふう みい」に隠された意味には、思わず感心し、そのあと苦笑してしまった。
それから、少しこじつけっぽい話もまたふるっている。なぜ人は涙を流すのか? という問いへの答えなど、私も三代目と一緒に感動すら覚えてしまった。
全編を通して記憶、忘却というモチーフが繰り返し語られるが、雲や蒸留酒になぞらえて物語が次第に収束していく終盤は、わくわくしながら読むことができた。
雲って、そうなんだ……と空を見上げたくもなった。
80点
昭和九年、クラフト・エヴィング商會の店主となった祖父。その孫である三代目が、祖父が使用していたトランクから、謎の旅行記を発見する。
アゾットという、聞いたこともない国に関する不思議な話。どうやらそれは「空想旅行」であったようだが、なぜ祖父は膨大で緻密な「嘘」をしたためる必要があったのか?
たくさんの言葉遊びが物語の中にちりばめられていて、とても面白かった。特にアゾットへ行くためのおまじない「ひい ふう みい」に隠された意味には、思わず感心し、そのあと苦笑してしまった。
それから、少しこじつけっぽい話もまたふるっている。なぜ人は涙を流すのか? という問いへの答えなど、私も三代目と一緒に感動すら覚えてしまった。
全編を通して記憶、忘却というモチーフが繰り返し語られるが、雲や蒸留酒になぞらえて物語が次第に収束していく終盤は、わくわくしながら読むことができた。
雲って、そうなんだ……と空を見上げたくもなった。
80点
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