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小山田浩子(新潮社)

短編集。15の作品が収められている。
どれもこれも、どこか不思議で夢のようで、それでいて既視感のある話だった。
日常にある虫や花や会話が書かれているせいか。

最後に収められている「家グモ」が面白かった。
語り手のみゆきの家には、手のひらサイズのクモが居ついているという。長い8本の脚を駆使して素早く移動するクモ。読んでいるだけでぞっとした。
彼女の目を通した景色にも、不穏な空気がただよう。
洗濯物の取り込みをお願いしても渋る夫。
エレベーターで会った、隣に住む母娘。4歳ぐらいの女の子のわがままとうるささ。
妊婦である友人とのランチ。友人の化粧やアクセサリーの描写。
淡々と会話や目に付いたことを書いているだけなのに、ほんのりと漂う悪意、は言い過ぎか、良からぬことが起きそうな予兆が漂うのだ。

川上弘美氏も不思議話を書くが、こちらのほうが好きだと思った。
川上氏には不穏さが足りないのかもしれない。
90点

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