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あの日

小保方晴子(講談社)

あの大騒動の当事者が綴った、衝撃の手記。
リケジョの星などと持ち上げられて、間もなく地獄の底へと突き落とされた小保方氏。その絶望が余すところなく描かれています。

まず、高校受験に失敗した話から始まっています。挫折感を味わったと語っていますが、そのあとは早大→院に進んで東京女子医大の研修生→ハーバード大への短期留学と、華々しい経歴。
特に留学する部分は、彼女が「アメリカ行きたい! でもお金ない!」表明をしただけで周りの先生たちが段取りしてくれました。
留学ってこんなに簡単なの? 超優秀だから? そのあたりは不明瞭でした。

で、留学先でプレゼンすりゃあ、教授に「過去15年で最高のプレゼンだった」と言わしめ、留学期間の延長と生活費の援助まで申し出てもらって、まさに順風満帆でした。
このあたりの描写は本当に楽しげで、自慢じゃないの事実なの、うふふ、と彼女の声が聞こえてくるようでした。

2014年1月、あのSTAP細胞論文の記者会見が開かれ、その1週間後には過去の論文に疑義がある、と言い出す人たちが出現します。
そのスピード感たるや。
彼女の、たぶん長所であった「ふわふわっと生きてきて結果うまくいってしまった」部分が、ここからすべて裏目に出ます。
最終確認を怠った、疑問点をうやむやにしてしまった、そんな積み重ねが彼女を窮地に追い込みます。

でもですよ。
あそこまでひどいバッシングを受けるほど、彼女がやったことは悪だったのか? と問われると、この本を読んだ後では「No」と言うしかないです。
まずマスコミがひどすぎる。
本当なの? と疑うほどひどすぎる。
実名で出てくる毎日新聞記者の非道っぷり、NHKの執拗な取材、部数が欲しくて記事を書いているという文春の言い分……取材という名の天下御免っぷりに驚愕しました。

次にやっぱり山梨大の若山先生。
小保方氏は恩義 も 感じているようで、なるべく感情を交えずに事実だけを書こうとしているようですが、とにかく彼の嘘と保身がこの大騒動を扇動したのは間違いないです。

最後に思ったことは、研究者、マスコミ、大学って結論ありきなのだな、ということです。
こういう実験結果が欲しいとなったら、そぐわない結果は捨ててしまう研究者。
小保方氏を悪人に仕立てるために躍起になるマスコミ。
世間が騒いでいるからと、博士号を取り上げることしか考えない大学。
この本が出ても誰も反論してないってことは、そういうことだよね。

なんとなーく小保方氏っていけ好かないと思っていましたが、反省しました。
またいつか、好きな研究ができるといいですね、と応援したくなりましたです。


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ガチまじ

我ながら単純だなーと思いますが、オボちゃんの印象がガラッと変わりました。

そのレポーターはマスゴミ側から発言したのでしょうね…確かに感傷的なところもありますけど、主題はそこじゃないのになあ、揚げ足取ってるんでしょうな。
まあ小保方氏から見た事実なので、保身というか、あえて書いてないコトはあるかもしれないですね。

自殺した先生のことも書かれてます。
「この人、死ぬんだよな」と思いながら読むわけで、次第に追い詰められていく描写が胸に迫りました。

はっっ、熱く語ってしまった…とにかくオヌヌメです。

  • まきまき
  • 2016/11/05(Sat)22:23:51
  • 編集

まじすか

この本読むとそんなに見方変わりますかまじすか!

どこかの番組のレポーターが「わたしのせいしゅんにっき」と副題を付けたいと揶揄してましたが・・・
まだ読んでいない私は、自己保身満載の内容にちげえねえと思っているのですが、読んだ人がそう言うなら、もしかして??

若山さんはカギを握ってそうですよね
あと、亡くなった人もおいでなので、その周辺のことは書きにくいかなあなんて思っております。
なんか書くと「ほーれ死人に口なしと思って都合のいいこと書いとるわ」って外野が言いそうだもんなー
  • ぴーの
  • 2016/11/05(Sat)20:59:58
  • 編集

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