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老ヴォールの惑星

小川一水(早川書房)

 四つの作品が収められているが、最後の『漂った男』が良かった。
 惑星パラーザに不時着したタテルマ少尉。その惑星は陸地のない、茫洋とした海が広がる惑星であった。呼吸可能な大気、適温の海水、しかもその中にはゲル状の食べられる物質が含まれている。当分生きていくことが出来る……安心したのも束の間、その広すぎる海にあって、彼の位置が特定できないという連絡が入る……。

 永遠に救援部隊が来ないかもしれないという絶望感のなかで、タテルマは「生」の意味を自らに問う。一生この海を漂うのなら、そこに意味を見出したい、と。そして考え続けることこそが糧となると彼は確信する。
 どこにいても、どんな環境でも、生きる意味はきっとある。彼の強靭な精神力が、そう教えてくれた、天啓のように。

 外国の古いSF小説のような、味わいのある、良い作品集であった。
75点
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