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博士の愛した数式

小川洋子(新潮社)

 優れた数学者でありながら、記憶が八十分しかもたないという、博士。その家に派遣された家政婦の、私。その息子で十歳の、ルート(本名は別にあるのだが、博士がその平らな頭を触ったときにルートと名付けた)。
 三人で過ごす、温かで濃い時間を描く。

 また素晴らしい作品に出会ってしまった。風変わりな設定が、これ以上ないほどに生かされたストーリーである。
 博士が説明する数式の美しさは、たとえ私のような数学嫌いにでも、魔法のように魅力的に響いた。素数とは? 完全数とは? 友愛数とは? それらがまるで芸術作品さながらに、博士の口から語られる。
 それから「小さきものを守らねばならぬ」という博士の揺るぎない確信に、胸を打たれた。ルートを思いやる心は、純粋で清らかだ。
95点
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