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沈黙

遠藤周作(新潮社)

 切支丹が激しく弾圧されていた時代、遠くポルトガルから、命からがら日本へとやってきた司祭、ロドリゴ。彼もやがては囚われの身となってしまう。最後の瞬間、彼は踏み絵を踏むのか否か。

 宗教についてここまで考えさせられたことは、未だかつてなかったように思う。
 棄教を迫られ、自らの命が危険に晒されても信仰を捨てない信徒たち。だがどんなに苦しんでも悲しんでも神は「沈黙」しているのである。それはなぜか。
 神とはひたすら「感謝」を捧げるためだけの存在なのか。それ以前に、存在として捉えていいのか。
 無宗教の私には重すぎるテーマではあった。だが心を打つ素晴らしい作品であったことは間違いない。
90点
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遠藤周作(新潮社)

 通商を始めるためにノベスパニヤ(メキシコ)に使者が派遣されることになる。格式ひくい武士である「侍」のほか、幾人かの使者衆、通訳兼宣教師のベラスコが同行する。
 行く先々で苦難に遭遇し、ぼろぼろになった彼らが最後に見たものは、一体何だったのか。

 侍・長谷倉の絶望もいかばかりだったかと思うが、宣教師ベラスコのそれのほうに心を捉えられた。日本という国にキリスト教を布教するという彼の望みは、ことごとく退けられ、ついえた。だが、絶望してしかるべき彼は思う。これが地上の現実だ、と。汚くて悲惨なこの地上に生きたことこそが、意味のあることだったのだ、と。
 宣教師たちの目から見た日本という国が、あまりにかたくなで無慈悲で、本当に読むのがつらかった。
90点

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